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ダラス・バイヤーズクラブ（DALLAS BUYERS CLUB）
（2013年 アメリカ）（上映時間1時間57分）
監督：ジャン＝マルク・ヴァレ
出演：マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー、
デニス・オヘア、スティーヴ・ザーン、グリフィン・ダン、マイケル・オニー
ル、ダラス・ロバーツ、ケヴィン・ランキン
＊ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
ホームページ http://www.finefilms.co.jp/dallas/
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＜ストーリー＞
1985年、テキサス州ダラスの電気技師ロン・ウッドルーフ（マシュー・マコノ
ヒー）はHIV陽性と診断され、余命30日と宣告される。やがてアメリカでは認可
された治療薬が少ないことを知り、納得できないロンは未承認薬を求めてメキ
シコへ向かう。そこでアメリカへの薬の密輸を思いついたロンは、無認可の治
療薬を国内のエイズ患者にさばくために"ダラス・バイヤーズクラブ"を設立す
るのだが……。
＜レビュー＞
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マシュー・マコノヒーの渾身の演技
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エイズにかかった男が余命30日と宣告されるものの、有効な薬を認めない国や
製薬会社に反抗して、自ら海外に未承認薬を求め、それを売りさばく組織まで
立ち上げるという実話をもとにしたお話。
というと、偉人伝かストレートな感動物語のように思えるかもしれませんが、
そうではありません。何しろ主人公のロンという男は、酒と女に明け暮れる放
蕩三昧の日々。ロデオのカウボーイでもあり、同性愛者を差別する人物です。
そんな男が、よりによって当時は同性愛者の病気と思われていたエイズにかか
ってしまったのだから大ショック。それでもエイズについて猛勉強し、アメリ
カでは認可された治療薬が少ないことを知ります。そこで有効な薬を求めてメ
キシコへ渡り、手に入れた薬を患者たちに売り始めます。それはまるで世界を
股にかけたビジネスマンの姿。何と日本に来日したシーンも登場するのです。
悪態をついて、汚い言葉を吐きながら、国や製薬会社の愚かさを批判し、遮二
無二前に進んでいくロン。そのバイタリティーに圧倒されます。彼の生き様を
示すと同時に、社会批判的な要素も込められています。
薬を密輸するためにロンが神父に化けるシーンなど、笑いどころもけっこうあ
ります。また、ロンが毛嫌いしていたゲイの青年と組んで薬をさばくのも、面
白い展開。さらに、次第にロンに共感する女性医師の存在などを通して、ロン
の人間としての変化を自然に見せていきます（薬をさばくのもただのビジネス
と言い切れない面があります）。
まあ、何と言ってもマシュー・マコノヒーの演技が絶品です。役作りで21キロ
も大減量したことばかりが話題ですが、それを越えて一世一代の演技を披露。
強気一辺倒のロンが、チラチラと心情を吐露するところなど、起伏のある演技
が見られます。完全に昔のイメージを払拭しましたね。
彼の陰に隠れていますが、ゲイの青年役のジャレッド・レト、女性医師役のジ
ェニファー・ガーナーも見事な演技を見せています。
ラストは押しつけがましくない感動が味わえます。同時に、世の中を変えるの
は偉い人や人格者ではなく、むしろこういう人なのだとも思わせてくれます。
いわゆる「難病もの」の紋切り型の映画ではなく、より陰影のある見応え十分
のヒューマンドラマ。マシュー・マコノヒーの演技だけでも観る価値がありま
すヨ。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（95点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年2月23日（日）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時40分の回
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