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エレニの帰郷
（TRILOGIA II: I SKONI TOU HRONOU／THE DUST OF TIMEELYSIUM）
●『エレニの帰郷』（TRILOGIA II: I SKONI TOU HRONOU／THE DUST OF TIME）
（2008年 ギリシャ・ドイツ・カナダ・ロシア）（上映時間2時間7分）
監督・脚本：テオ・アンゲロプロス
出演：ウィレム・デフォー、ブルーノ・ガンツ、イレーヌ・ジャコブ、ミシェ
ル・ピッコリ、クリスティアーネ・パウル、レニ・ピタキ、コスタス・アポス
トリーディス、アレクサンドロス・ミロナス、ヴァレンティーナ・カルネルッ
ティ、ティツィアーナ・フィフネル
＊新宿バルト9ほかにて公開
ホームページ http://www.eleni.jp/
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＜ストーリー＞
20世紀末のローマ。映画監督Ａ（ウィレム・デフォー）は、両親の愛の物語を
映画にしようとしていた。1953年のソ連。愛するスピロス（ミシェル・ピッコ
リ）と引き裂かれた母エレニ（イレーヌ・ジャコブ）は、ギリシャ難民の町テ
ミルタウでスピロスと再会する。だが、スターリン死去の混乱の中で２人は逮
捕され、再び離ればなれになる。シベリアに送られたエレニは、スピロスの子
を身ごもっていた。そんな苦境のエレニを、彼女に一途な想いを寄せるヤコブ
（ブルーノ・ガンツ）が支えていくのだが……。
＜レビュー＞
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巨匠の遺作となった壮大な叙事詩
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『旅芸人の記録』などで知られるギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督の
作品。三部作として企画され、１作目の『エレニの旅』に続く２作目がこの映
画。ただし、アンゲロプロス監督は３作目を撮影中の2012年1月、交通事故で他
界したため、本作が遺作となってしまいました。
などと偉そうなことを言いましたが、実は私、アンゲロプロス監督の映画を観
るのは初めてです。
主人公はウィレム・デフォー演じる映画監督。両親の愛の物語を映画にしよう
とする彼ですが、自身は離婚し、娘は情緒不安定で姿を消してしまいます。や
がて、そこに両親とかつて母の支えになった男性が現れます。
そんな現在進行形のドラマとともに、母が若き日に父と離ればなれになって、
シベリアに送られ、そこで主人公を産み、その後も様々な過酷な運命にさらさ
れる過去のドラマも展開します。ちなみに、タイトルの「エレニ」は主人公の
母親と娘の名前。
正直、この映画には理解しにくいところがたくさんありました。突然、時代が
あちらこちらに飛ぶし、人物や時代背景の詳しい説明もなし。描かれることが
事実なのか、それとも空想の産物なのかさえよくわかりません。まあ、私が１
作目を観ていないせいもあるのでしょうが。
ただし、それでもこの映画が壮大な叙事詩なのはよくわかります。舞台となる
時代は1953年から1990年代終わりまでと幅広く、東西冷戦、ベトナム戦争、ベ
ルリンの壁崩壊など、様々な国際的な出来事が背景に盛り込まれています。
その中で描かれるのは運命に翻弄された３人の男女の姿。エレニ、その夫のス
ピロス、かつてエレニを愛したヤコブです。後半になって老いた３人が登場す
ると、なおさら人生の苦さや哀愁が漂います。
そして、この映画の最大の見どころは美しい映像。例えば、ラストの雪の中の
祖父と孫のシーンなどは、そのまま絵画になりそうな美しさです。そんな映像
がテンコ盛り。
アンゲロプロス監督の急逝で、３作目が観られなくなってしまったのは、本当
に残念ですね。
まあ、私にわかるのはそれぐらいで、本当はもっともっと色々な側面を持つ映
画なのでしょう。そこがイマイチ理解できないのがもどかしい……。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年2月6日（木）新宿バルト9にて。午後1時50分の回
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