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ＦＯＲＭＡ
（2013年 日本）（上映時間2時間25分）
監督：坂本あゆみ
出演：松岡恵望子、梅野渚、ノゾエ征爾、光石研、仁志原了
＊ユーロスペースにて公開。全国順次公開
ホームページ http://forma-movie.com/jp
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＜ストーリー＞
金城綾子（梅野渚）はある日、高校時代の同級生だった保坂由香里（松岡恵望子）と再会する。由香里は綾子に誘われて同じ会社で働くことになる。だが、綾子は徐々に由香里を冷たく扱うようになり、由香里は追い詰められていく……。
＜レビュー＞
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女同士の憎しみの果て。長回しの映像が怖すぎる
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日常と隣り合わせの狂気を、独特の映像で描いた作品です。第26回東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞するなど、世界的にも高評価の映画。
ドラマの中心になるのは高校の同級生だった綾子と由香里。２人は久々に再会し、綾子は由香里を自分の会社に誘います。しかし、やがて綾子の態度が冷たくなっていき、由香里は追い詰められていきます。いったい綾子は何をしようとしているのか。実は、その背景には綾子の深い憎しみがあったのです……。
ドラマの構図自体は、テレビの２時間サスペンスなどにも出てきそうなネタ。ただし、変わっているのが映像です。最初から最後まで、ずっとカメラの長回しを多用。場合によっては、人物がフレームアウトしてもそのままカメラを回し続けます。この映画、２時間半近い長さですが、長回しを使わなかったら２時間もかからずに終わったのでは？
最初は、これが何だかカッタるかったんですけどね。観ているうちに、だんだん効いてくるんですよ。独特の緊張感や寒々しさ、底知れぬ不気味さがスクリーンから漂ってきます。
小さな公園、立ち食いそば屋など、なんでもない普通のシーンが、どれも不気味で意味ありげに見えてきます。
それが頂点に達するのがクライマックスの女同士のバトル（現場にはもう１人男がいたけど）。20分以上もの長回しで描かれるこのシーンが、実にリアルで怖いのです。
その結末は、これまたテレビの２時間サスペンスでやりそうな展開。だけど、そこに至るまでのバトルがドキュメンタリーのようにリアルで（セリフもアドリブじゃないの？）、しかもまったく省略しないで見せるから、不自然さを感じるどころか、むしろ納得してしまいます。「女の憎しみって怖いなぁ〜」と素直に感じてしまいました。
いやいや、単に女の憎しみというだけでなく、もっと普遍的に人間の奥底にある闇をズバリとついています。一見、我々とは無縁に思えるこの映画のような出来事も、「もしかしたら……」と思わせられてしまうんですヨ。
この映画、ジャンル分けすれば一応サスペンス映画なのですが、スリラー的な要素もありますね。これがデビュー作となる坂本あゆみ監督は、塚本晋也監督のスタッフを務めていたそうですが、日常と隣り合わせの恐怖という点では、黒沢清監督あたりと共通する部分もあるかもしれません。何にしても、相当な才能の持ち主で今後が楽しみです。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（91点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年8月17日（日）ユーロスペースにて。午後2時50分の回
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