蜩ノ記


(2013年 日本)(上映時間2時間9分)
監督:小泉堯史
出演:役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、寺島しのぶ、
三船史郎、井川比佐志、串田和美、吉田晴登、小市慢太郎、中野澪、綱島郷太
郎、大寶智子、川上麻衣子、石丸謙二郎、矢島健一、渡辺哲
*TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開中
ホームページ http://higurashinoki.jp/
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<ストーリー>
城内で刃傷沙汰を起こした檀野庄三郎(岡田准一)は、家老の中根兵右衛門
(串田和美)によって罪を免じられ、代わりに幽閉中の戸田秋谷(役所広司)
の監視を命じられる。秋谷は側室と不義密通した上、小姓を斬り捨てたとして、
10年後に切腹することと、それまでの間、藩の歴史である"家譜"の編纂に従事
することを命じられていた。切腹の日は3年後。庄三郎は秋谷やその家族と一
緒に暮らし始めるのだが……。

<レビュー>
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細部までこだわった質の高い時代劇
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『雨あがる』『博士の愛した数式』の小泉堯史監督による時代劇。小泉監督は、
黒澤明監督の助監督を務めるなど黒澤組出身の人。それだけに、今回もいい仕
事をしています。細部までこだわって、質の高い時代劇を生み出しました。
オープニングの雨のシーンから、すぐにそれがわかります。ドラマの舞台とな
る田舎の村の風景も美しいですねぇ〜。

檀野庄三郎という若い武士が、城内で刃傷沙汰を起こすのがドラマの発端。彼
は罪を免れる代わりに、家老から、戸田秋谷という幽閉中の武士を監視するよ
うに命じられます。秋谷は藩主の側室に密通し、小姓を切り捨てたとして、10
年後の切腹を命じられていました。同時に、その間に藩の歴史(家譜)をまと
めるように命じられていました。切腹までの期間はあと3年。

こうして監視を始めた庄三郎は、最初は警戒しているものの、やがて秋谷に惹
かれていきます。なんたって、秋谷ときたら立派な人物。不幸な身の上を嘆く
こともなく、義を重んじ、凛として、日々を精一杯生きています。彼の妻子な
どもみんな立派です。「こんな人たちいないよ〜!」という感じですが、その
へんはあんまりウソくさくないように見せています。

途中からは、秋谷が切腹を命じられた事件の真相に迫るドラマも展開します。
そこには藩のお家騒動なども絡んできます。

映画全体は静かなタッチで描かれ、これといった大事件も起きませんが、後半
はある書状をめぐって緊迫の事態となり、クライマックスではあわやの場面が
訪れます。

それでもあくまでも立派にふるまう秋谷たち。そして、彼と対峙する家老まで
立派な態度です。

うーん、こんなに立派な人ばっかりでいいのだろうか?彼らを見ているうちに、
私のようなダメ人間は、だんだん気恥ずかしくなってきました。ダメ人間でご
めんね。

というわけで、個人的にはイマイチ楽しめない映画でしたが、質の高い作品な
のは確かです。武士としての忠義、お家騒動、権力の理不尽さ、夫婦愛や親子
愛、歴史の大切さなど、いろんな要素がテンコ盛りなのに、ちっとも窮屈さを
感じさせません。

ちなみに、タイトルは読めました?「蜩」は「ひぐらし」です。私は読めませ
んでした。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(79点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2014年10月10日(金)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時30分の回


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