|
アイム・ソー・エキサイテッド！（LOS AMANTES PASAJEROS／
I'M SO EXCITED!）
（2013年 スペイン）（上映時間1時間30分）
監督・脚本：ペドロ・アルモドバル
出演：アントニオ・デ・ラ・トレ、ウーゴ・シルバ、ミゲル・アンヘル・シル
ベストレ、ラヤ・マルティ、ハビエル・カマラ、カルロス・アレセス、ラウー
ル・アレバロ、ホセ・マリア・ヤスピク、ギイェルモ・トレド、ホセ・ルイ
ス・トリホ、ロラ・ドゥエニャス、セシリア・ロス、ブランカ・スアレス、ア
ントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス、パス・ベガ
＊新宿ピカデリーほかにて公開
ホームページ http://excited-movie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
スペインのマドリッドからメキシコ・シティへ向かって旅客機が飛び立つ。と
ころが機体のトラブルで、着陸できずに空を旋回し続ける事態になる。緊迫す
る状況の中、ビジネスクラスには、不祥事で高飛びしようとする銀行頭取や落
ち目の俳優、伝説のＳＭ女王、不吉な予言をするアラフォー処女などがいた。
騒ぎ出す彼らを落ち着かせようと、オカマのＣＡ３人組は得意の歌とダンスを
披露するのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
スペインの巨匠によるオバカすぎるコメディ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール 帰郷』などで知られるスペインの巨匠
ペドロ・アルモドバル監督が、珍しくもワンシチュエーションコメディを作り
ました。といっても、こういうブラックなコメディは初めてではなく、初期に
はけっこう作っていたようです。
どんなシチュエーションが設定されているかというと、機体トラブルで空中旋
回を続ける旅客機。特にビジネスクラスが舞台になっています。その中で、ク
セモノたちがハチャメチャな行動を繰り広げます。
何しろビジネスクラスの乗客は、愛人と元カノが気になる元人気俳優、政財界
のトップと関係しているSMの女王様、不祥事を働いて国外逃亡を企てている銀
行頭取、予知能力を持つというアラフォー処女、新婚旅行中のヤクの運び屋な
どなど。
乗務員もとんでもない人たちばかりです。ＣＡの３人の男性は全員オカマ。三
角関係に悩むバイセクシャルの機長や奥さんと離婚したい副機長などもいます。
映画の冒頭で「これはファンタジーです」と断っていますが、わざわざそんな
こと言われなくても、現実にはありえない設定だとわかります。
というわけで、その特徴を生かしてやりたい放題。オバカな話が次々に飛び出
します。エコノミーの客が騒がないようにと薬で眠らせたり、ビジネスクラス
の客には３人のオカマが歌と踊りをサービスしたり（タイトルの「アイム・
ソー・エキサイテッド！」という曲をバックに）。きわめつけは、最後のほう
でゲイもストレートも、みんな機内でエッチしちゃいます。やれやれ。
映画祭の常連の監督が、こんなことするなんてスゴイですねぇ〜。
それでもハリウッドのＢ級映画のような情け容赦ないお下劣さがないのは、さ
すがに名匠ゆえか。微妙なところで寸止めしている感じです。なので、爆笑の
連続を期待すると裏切られるかも。むしろクスクス笑いが多い映画ですね。
乗客たちの過去の人生ドラマを描いているのも印象的。銀行頭取の娘との再会
や、元人気俳優の女性たちとの関係とか。
最後はバイの機長が、衝撃の事実を知ってジ・エンド。最後まで笑わせてくれ
ました。
ちなみにアントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスも、最初のほうでチラッ
とご出演です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年1月26日（日）新宿ピカデリーにて。午後1時40分の回
[「あ」のページ] |