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渇き。
（2014年 日本）（上映時間1時間58分）
監督：中島哲也
出演：役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ、橋本愛、森川
葵、高杉真宙、國村隼、黒沢あすか、青木崇高、オダギリジョー、中谷美紀
＊TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国公開
ホームページ http://kawaki.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
元刑事で警備員の藤島昭和（役所広司）は、別れた元妻から容姿端麗な優等生
で、学校ではマドンナ的存在の娘・加奈子（小松菜奈）が失踪したと告げられ、
自ら捜索に乗り出す。しかし、娘の交友関係を探るうちに、優等生だとばかり
思っていた加奈子の意外な一面が次々に暴かれる。本当の娘の姿を知れば知る
ほど、昭和は激情に駆られ、どんどん暴走していくのだが……。
＜レビュー＞
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圧倒的なエネルギーに包まれた中島哲也流バイオレンス映画
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『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『告白』の中島哲也監督が、深町秋生の第
３回このミステリーがすごい！大賞受賞作「果てしなき渇き」を映画化（私は
未読です）。
元刑事の主人公が、別れた元妻から「高校生の娘が行方不明だ」と告げられ、
自ら捜索に乗り出します。ところが、娘の鞄には何とシャブが。そして、交友
関係を探るうちに、優等生のはずの娘の本当の姿を知り、主人公はどんどん暴
走していくのです。
変わった刑事、不良やヤクザ、心療内科の医者、殺し屋など怪しい人物がテン
コ盛りで登場。覚せい剤だの売春だの手垢のついた話が展開します。正直なと
ころ、ミステリー的にはそれほど面白い話だとは思いませんでした。
ただし、それを飽きさせないのが、中島哲也監督のワザ。現在進行形の娘探し
を描きつつ、過去のいくつかのドラマを同時並行的に描く構成で、観客の興味
を引きます。アップを多用し、身近なショットを積み重ねる映像も、魅力的で
す。
テーマとしては、親子関係の微妙さが中心でしょうか。なんだか家庭内暴力と
か、近親相姦的な部分もあって、相当にヤバイですよね。
とはいえ、この映画の最大の特徴はバイオレンスシーンです。血だらけです。
壮絶です。痛すぎます。いかにもCM出身の中島監督らしく、ポップな映像やセ
ンスの良い音楽でエンタメ性を持たせてはいるものの、もはやそんな次元では
ありません。
冒頭近くでタランティーノとか、ロバート・ロドリゲスの映画風のオープニン
グタイトルが出てきたので、ああいう雰囲気のバイオレンス映画かと思ったの
ですが、実際はまったく違いました。ケレンなどナシ。ひたすらヘヴィーなバ
イオレンスシーンの連続です。
スクリーンを覆うのは得体のしれないエネルギー。パク・チャヌク作品をはじ
めとする韓国の犯罪映画を思わせる、凄まじさです。うーむ、日本で、しかも
ロードショー公開の映画で、こういう映画が登場するとは！
まあ、はっきり言って、誰にでも勧められる映画ではありません。バイオレン
スが苦手な人はやめておいたほうがいいでしょう。意外な人物が絡んで、さら
に深い穴にはまっていくラストも、後味の良いものではありません。
しかし、それでも私は、あの破格のエネルギーに圧倒されて、最後までスク
リーンを見続けてしまいました。当然ながら、観終わって疲労感が残ったので
すが……。何なんでしょう？この映画。いろんな意味で参りましたぜ。
実は主人公は、もともと危ない人。妻の不倫相手を半殺しにしたりして。それ
がさらにエスカレートするという難しい役どころをちゃんと演じている役所広
司はさすがです。そして娘役の小松菜奈の存在感も見逃せません。危なさと可
憐さの同居した姿は、あの年頃独特のものかもしれませんが、それにしても不
思議な魅力を持った子ですね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年6月28日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時の回
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