舞妓はレディ


(2014年 日本)(上映時間2時間15分)
監督・脚本:周防正行
出演:上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、
竹中直人、高嶋政宏、濱田岳、小日向文世、岸部一徳、中村久美、岩本多代、
高橋長英、草村礼子
*TOHOシネマズ日本橋ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.maiko-lady.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
京都の花街・下八軒。舞妓不足で悩むこの街のお茶屋・万寿楽に春子(上白石
萌音)という少女がやってくる。鹿児島弁と津軽弁の交じった強いなまりで
「舞妓になりたい」と訴える彼女に周囲はあきれるが、たまたま居合わせた言
語学者、京野(長谷川博己)は「なまりを直して舞妓にする」と宣言する。ま
もなく2人の特訓が始まるのだが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
舞妓を目指す少女の奮闘をミュージカル仕立てで楽しく
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『それでもボクはやってない』『終の信託』など社会派ネタの映画が続いた周
防正行監督。今回は久々にコメディータッチの映画です。

舞台になるのは京都の下八軒という花街。舞妓不足で30歳近い舞妓が1人しか
いないこの街のお茶屋に、1人の少女がやってきて「舞妓になりたい!」と訴
えます。

というわけで、この女の子が舞妓になるまでの成長物語です。タイトルはいう
までもなく『マイ・フェア・レディ』を意識したもの。田舎者の少女が、美し
く魅力的な女性になっていくというのは、まさに『マイ・フェア・レディ』で
す。

ただし、ユニークなのが主人公が津軽弁と鹿児島弁の混じったひどいなまりで
あること。それを若き言語学者がトレーニングで、京言葉に変えていきます。
その過程では、主人公の学者に対する恋心なども描かれます。

もちろん舞妓である以上、歌や舞などその他のハードトレーニングもあります。
余りの厳しいトレーニングに、一度は挫折しかける主人公。それでも夢をあき
らめないのは、周囲がみんな良い人だから。厳しく接する先輩や師匠もいます
が、悪人は1人も登場しません。みんな主人公を応援します。このあたり、い
かにも周防監督らしい展開です。

また、主人公の夢の背景として、彼女の母親をめぐるドラマも、過不足なく描
かれています。

おっと! 言い忘れましたが、この映画はミュージカル仕立て。あちこちで歌
と踊りが登場します。それがちっとも不自然ではありません。どちらかという
とミュージカルが苦手な私も、違和感なく楽しむことができました。

主要な登場人物をみんな輝かせているのも印象的ですね。主人公を演じた初々
しい上白石萌音(新人の割には大健闘!)はもちろんですが、女将役の富司純
子、先輩役の田畑智子、草刈民代など、みんなに見せ場を用意しています。そ
れを見ているだけでウキウキした気分になってきます。

こんなにいろんな要素を詰め込んでいるのに、ちっとも窮屈になっていないの
が見事。細部までこだわった花街などのセットも素晴らしい出来です。

誰でも楽しめて、温かな気持ちになれる映画。周防監督流エンターティメント
の一つの完成形と言えるかもしれません。そのぐらい完成度が高いです。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(88点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                               (田中ひろあき)
〔鑑賞データ〕
2014年9月21日(日)池袋HUMAXシネマズにて。午後3時10分の回


[「ま」のページ]