マップ・トゥ・ザ・スターズ(MAPS TO THE STARS)


(2014年 カナダ・アメリカ・ドイツ・フランス)(上映時間1時間52分)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、オリヴィア・ウィリアムズ、
サラ・ガドン、エヴァン・バード、ジョン・キューザック、ロバート・パティ
ンソン、ジャスティン・ケリー 、ニーアム・ウィルソン、エミリア・マッカー
シー、キャリー・フィッシャー
*新宿武蔵野館ほかにて全国公開
ホームページ http://mapstothestars.jp/
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<ストーリー>
ハリウッドにやってきた顔に火傷の痕がある少女アガサ(ミア・ワシコウス
カ)は、女優ハヴァナ(ジュリアン・ムーア)の秘書として働き始める。一方、
人気子役ベンジー(エヴァン・バード)は、父親でハヴァナの掛かり付けのセ
ラピスト、スタッフォード(ジョン・キューザック)、マネージャー役の母親
クリスティーナ(オリヴィア・ウィリアムズ)と豪華な生活を送っている。そ
んな中、彼らのおどろおどろしい秘密が明らかになり、運命の歯車が狂い始め
る……。

<レビュー>
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ハリウッドへの皮肉を込めた多様な要素を持った悲喜劇
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『ザ・フライ』『危険なメソッド』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『コ
ズモポリス』などで知られる鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督。昔は、
かなりヘンな映画(悪い意味ではなく)が多かったのですが、最近は昔ほどの
ヘンさはありません。今回の映画も昔に比べれば穏やかですが、それでもなか
なか面白い作品です。

ハリウッドが舞台のドラマ。冒頭、アガサという顔に火傷の痕のある少女が、
ハリウッドにやってきます。彼女は、ツテを頼ってハヴァナという女優の個人
秘書になります。一方、有名子役のベンジーは、父親の有名セラピスト(ハヴ
ァナのセラピーもしている)と、マネージャー役の母親と暮らしています。

ハヴァナは、女優だった母親を題材にした映画の主役を狙うものの、他の女優
に奪われそうです。しかも、その母親は焼死し、ハヴァナはその亡霊に悩まさ
れています。一方、ベンジーは売名行為で見舞った病気の少女が亡くなり、彼
女の亡霊に苦しんでいます。さらに、彼とアガサには何やら危険な関係がある
ようです。

というわけで、この映画の根底にはハリウッドに対する痛烈な皮肉があります。
その上で、様々なドラマの要素を組み合わせています。ハリウッドセレブ達を
おちょくったコメディー。そこで生きる人々が抱えたおぞましい秘密を探るサ
スペンス。人々を苦しめる亡霊たちを描いたホラーなどなど。

なかでも一番印象的なのは、人々が抱える心の闇や空虚さ。それらが生み出す
不気味な空気がスクリーンを支配します。あらゆるアイテムが意味ありげで、
観客の心をざわつかせます。

後半になると、アガサを中心とした登場人物の関係が明らかになり、彼らが抱
えたおどろおどろしい秘密が明らかになります。そして、それが恐ろしい事態
を招いてしまうのです!いやぁ〜、怖いですねぇ。ラストシーンも定番の展開
とはいえ、おぞましく美しい世界。

役者では、陰のある少女アガサを演じたミア・ワシコウスカもいいのですが、
何といっても落ち目の女優ハヴァナを演じたジュリアン・ムーアの怪演が見も
のです。もともと大胆な演技をする彼女ですが、今回のブチ切れっぷりは出色。
お下劣なシーンまで平気で演じちゃっています。カンヌ国際映画祭女優賞を獲
得したのも納得。

クローネンバーグ監督らしさは残しつつも、多様な魅力を持った映画として仕
上げられているので、ファンならずとも一見の価値はあると思います。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(88点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                               (田中ひろあき)
〔鑑賞データ〕
2014年12月26日(金)新宿武蔵野館にて。午後4時15分の回


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