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めぐり逢わせのお弁当（DABBA／THE LUNCHBOX）
（2013年 インド・フランス・ドイツ）（上映時間1時間45分）
監督：リテーシュ・バトラ
出演：イルファン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッデ
ィーキー
＊シネスイッチ銀座にて公開
ホームページ http://lunchbox-movie.jp/
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＜ストーリー＞
インドのムンバイに暮らす主婦のイラ（ニムラト・カウル）は、夫の愛情を取
り戻そうと弁当作りに腕を振るう。だが、その弁当はなぜか早期退職を控えた
男やもめのサージャン（イルファン・カーン）のもとに届いてしまう。イラは
空っぽになって戻ってきた弁当箱を見て喜ぶが、夫からは何の反応もなく、弁
当は夫が食べたのではないと気づく。そこで、イラは翌日、弁当にお礼の手紙
を忍ばせるのだが……。
＜レビュー＞
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弁当の誤配達をきっかけに始まる悩める主婦と初老の男の交流
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インドを舞台にした映画ですが、マサラムービーのような歌も踊りもありませ
ん。静かな人間ドラマです。
ドラマの背景にあるのは、弁当配達というビジネス。大都会ムンバイでは、家
庭で作ったお弁当をオフィスに届けるサービスが充実していて、１日20万個の
お弁当箱がダッバーワーラーと呼ばれる配達人によって届けられているそうで
す。誤配達の可能性はかなり低いそうですが、「もしもそれが間違えたら…
…」という設定でできたのがこの映画。目のつけどころがナイスです。
冒頭に登場するのはイラという主婦。子供を学校に送りだして、夫の弁当作り
に精を出します。夫は家庭に興味がなく、彼女との会話もありません。それを
何とかしようと一生懸命に弁当を作るわけです。
まもなく、弁当配達人がその弁当をピックアップしていきます。順調なら夫の
ところに届く弁当ですが、なぜかサージャンという男のところに届いてしまい
ます。彼は数年前に妻を亡くし、早期退職を間近に控えた寂しい暮らしを送っ
ています……。
というわけで、この２人が手紙のやり取りをするようになります。イラは夫の
ことやら何やらをサージャンに相談し、サージャンはそれに答えます。この２
人の交流がドラマの核になります。いわばイラとサージャンのラブロマンスで
すが、それをつなぐのが電話でもＥメールでもなく手紙だという設定が秀逸。
何となく古風で趣のあるロマンスに仕上がっています。
いったん２人が会いそうになりながら、結局はそうならないといったあたりの
スレ違いの展開も、いかにも古風なロマンス的ですね。
しかも、描かれるのはロマンスだけではありません。イラとサージャンそれぞ
れの変化がクッキリと描かれます。最初は人とのかかわりを拒否しているよう
なサージャンですが、イラとの交流を通して人に対する思いやりや優しさを見
せるようになります。一方、イラも夫に従属する妻から、次第に自立する女へ
と成長していきます。そこには彼女の父の死も深く関係してきます。
イラに様々なアドバイスをする上の階のおばさん（声のみで登場）や、サージ
ャンの後任としてやってくる孤児の青年などの脇役も、効果的に使われていま
す。ユーモラスなシーンもたくさんあって、気楽に楽しめます。
ラストは余韻の残る結末。２人の今後がどうなるのか。観客の想像力を刺激し
ます。
リテーシュ・バトラ監督は、アメリカで映画を勉強したそうですが、長編デビ
ュー作にしてこれだけの映画を撮るのだから、今後が楽しみです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年8月31日（日）シネスイッチ銀座にて。午後1時50分の回
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