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オンリー・ゴッド（ONLY GOD FORGIVES）
（2013年 デンマーク・フランス）（上映時間1時間30分）
監督・脚本・製作：ニコラス・ウィンディング・レフン
出演：ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ヴィタ
ヤ・パンスリンガム、ラータ・ポーガム、ゴードン・ブラウン、トム・バーク
＊新宿バルト9ほかにて公開
ホームページ http://onlygod-movie.com/
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＜ストーリー＞
タイでボクシングクラブを経営しながら麻薬ビジネスを行う米国人青年ジュリ
アン（ライアン・ゴズリング）と兄ビリー。だが、ある日、ビリーが何者かに
殺される。それを知った２人の母でギャングの女ボス、クリスタル（クリステ
ィン・スコット・トーマス）はジュリアンに復讐を命じる。そんな彼の前に、
刀を携え神に代わって裁きを下す元警官チャン（ヴィタヤ・パンスリンガム）
が現れる……。
＜レビュー＞
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鮮烈な映像で描く不思議な復讐劇
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『ドライヴ』がカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞するなど、高い評価を受けた
ニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品。主演も同じライアン・ゴズリ
ング。
ヒリヒリするような緊迫感、いかにもアブない雰囲気は『ドライヴ』と同じ。
ただし、今回はもっと個性的で、癖のある映画です。
何しろ暴力シーンが満載。惨殺された血まみれの死体、刀で斬られた首などが
登場。こういうシーンが苦手な人は観ないほうがいいでしょう。
ストーリーは、一応復讐劇のスタイル。タイでタイ式ボクシングクラブの経営
や麻薬ビジネスを展開していたアメリカ人兄弟。兄が殺され、それを知った母
はタイに乗り込み、弟に復讐を命じます。
とはいえ、まともな復讐劇ではありません。何しろ兄が殺されたのは、15歳の
少女をレイプして殺したから。それを知った娘の父親に殺害されてしまったの
です。だから、観客は復讐側に感情移入できません。
しかも、兄を殺した娘の父親は、ある男に指示されて殺害に及んでいます。そ
の男とは、神に代わって裁きを下すという元警官チャン。刀の使い手で、タイ
式ボクシングも強者です。
そして、さらに意外なのが主人公の弟ジュリアンが弱っちいこと。途中でチャ
ンに徹底的に叩きのめされてしまいます。でもって、母親のクリスタルが復讐
の陣頭指揮を執ります。
これじゃあ、どう考えても復讐劇としては楽しめません。ジュリアンとクリス
タル母子の複雑な関係なども描かれますが、ドラマ的には特に魅力ナシ。何の
意味があるのだか不明なシーンなどもあったりします。
それでもつい最後まで見入ってしまったのは、あまりにも妖しく美しい映像の
おかげ。赤や青などの原色を使った室内のシーンをはじめ、鮮烈な映像がテン
コ盛りです。タイが舞台ということもあって、エキゾチックな香りも醸し出し
ています。
うーん、なんだかわからんけど、すごい映像……。というので、最後まで飽き
なかったのでした。
役者では、ライアン・ゴズリングよりも母親役のクリスティン・スコット・
トーマスが目立っていました。恐ろしい母親です。しかし、それを上回るのが
ヴィタヤ・パンスリンガム演じるチャン。すごいオッサンです。コワすぎです。
できれば、この２人の対決をもっと見せてほしかったところ。
レフン監督の才能を改めて確認した映画。次はもう少しドラマ性のある映画を
撮って欲しいですね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（85点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年1月30日（木）新宿バルト9にて。午後2時40分の回
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