おとなの恋には嘘がある(ENOUGH SAID)


(2013年 アメリカ)(上映時間1時間32分)
監督・脚本:ニコール・ホロフセナー
出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、キ
ャサリン・キーナー、トニ・コレット、ベン・ファルコーン、イヴ・ヒューソ
ン、トレイシー・フェアラウェイ、レニー・ロフティン、ジェシカ・セント・
クレア、ミカエラ・ワトキンス
*新宿シネマカリテほかにて公開中。順次全国公開予定
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<ストーリー>
ボディセラピストのエヴァ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)は、大学入学
を控えた娘と暮らすバツイチ女性。ある日、パーティで自分と似た境遇の男性
アルバート(ジェームズ・ガンドルフィーニ)に出会い、親しくなる。一方、
エヴァは同じパーティで知り合った詩人の女性マリアンヌと意気投合し、マッ
サージのために彼女の家を頻繁に訪れるようになる。だが、マリアンヌが悪口
を言う前夫が、実はアルバートだとわかったことから……。

<レビュー>
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中年男女の不器用な恋。絶妙の会話が魅力
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フォックスサーチライト製作によるラブコメディ。監督・脚本はテレビシリー
ズ「SEX AND THE CITY」の演出も手がけたニコラス・ホロフセナー。

まあ、簡単に言えば男女が出会って仲良くなるものの、ちょっとした行き違い
があってダメになりかかる、というだけのお話。これを若いカップルに設定し
たら、ありふれた映画になったことでしょう。

しかし、この映画のエヴァとアルバートという男女は、どちらもバツイチで、
娘がもうすぐ大学進学で家を出るという境遇の中年。この設定がとても効果的
です。

特に秀逸なのがセリフです。ユーモアとウィットに満ちた会話の連続。軽いウ
ソをかまし合う2人に、ついクスクスと笑ってしまいます。まるでゲームを繰
り広げているような絶妙の会話。しかも、そこにはそれぞれの過去の人生も反
映されています。

2人の恋は、中高生のように不器用で初々しいもの。それが若者ではなく中年
の恋だから面白い。彼らの初々しさは、過去に色々な経験をしてきたからこそ。
それでもお互いの欠点さえも包み込んで、どんどん親しくなっていくところは、
さすが年輪のなせる業。ところが、そこで意外な展開が……。

ボディセラピストのエヴァの顧客が、元夫の悪口を言います。しかし、それが
なんとアルバートだったというオチ。それによって、エヴァの心に迷いが生ま
れ、アルバートとの関係に大きな変化が訪れます。

ラストの展開はありがちなもの。しかし、そこもセリフが効いています。少し
前に伏線を張っておいたナイトテーブルのネタで観客を笑わせ、温かな余韻を
残しててくれます。

エヴァとアルバートのそれぞれの元夫と元妻、そして娘たちや友人たちとの関
係なども、2人の恋の背景として効果的に使われています。

ただのラブコメも、キャラ設定とセリフで、これだけ面白くできるんですねぇ
〜。

この映画で、ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされたエヴァ役の
ジュリア・ルイス=ドレイファスのかわいらしさが印象的。ですが、それ以上
に心に残るのがアルバート役のジェームズ・ガンドルフィーニ。何とも味のあ
る演技です。この映画の公開前の2013年6月に死去したのが惜しまれます。合掌。

≪ぽちの満足度≫

★★★☆☆
(85点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2014年4月5日(土)新宿シネマカリテにて。午後4時15分の回


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