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郊遊＜ピクニック＞（郊遊／STRAY DOGS）
（2013年 台湾・フランス）（上映時間2時間18分）
監督：ツァイ・ミンリャン
出演：リー・カンション、ヤン・クイメイ、ルー・イーチン、チェン・シャン
チー
＊シアター・イメージフォーラムほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.moviola.jp/jiaoyou/
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＜ストーリー＞
現代の台北。水道も電気もない空き家で暮らす父親と幼い２人の子供。日中、
父親は"人間立て看板"として路上に立ち続け、わずかな稼ぎを得ていた。一方、
子供たちは、スーパーの食品売り場で試食巡りをして飢えをしのいでいた。父
親にとってはつらい生活だったが、子供たちにとっては毎日がピクニックのよ
うにも思える生活だったのだが……。
＜レビュー＞
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謎に満ちた長回しの映画が観客の想像力を刺激する
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台湾のツァイ・ミンリャン監督の作品。これほど観客に媚びない作家性の強い
映画を観たのは、初めてかもしれません。
冒頭は眠っている2人の傍らで髪を梳く女の映像。いったいこれは何なの
だ？？？？？
というわけで、これ以降も謎のシーンがあちこちに登場します。
一応、父と2人の子供のホームレス同然の生活を描いた映画のようです。風雨の
中看板を持って日銭を稼ぐ父、スーパーの試食で飢えをしのぐ子供たち、公衆
トイレで歯を磨いたり、3人並んで弁当を食べたりと、彼らの日常が描かれます。
しかし、詳しい説明やドラマらしいドラマはほとんどありません。
そして、この映画の大きな特徴が長回しを多用しているところ。人物が何か行
動したり、表情を変化させるシーンだけでなく、ほとんど動きのないような
シーンまで、長回しで延々と映し続けます。
印象的なシーンはいくつもあります。風雨の中で立つ父親が漢詩を謳い上げる
シーン、子どもたちがピクニックのように楽しそうにしているシーンなど。
一方、冒頭に謎の女性が登場しましたが、その後も別な謎の女性が登場します。
そのうちの1人は子供たちを連れ去ってしまいます。残された父親が、娘が人形
に見立てていたキャベツをかじるシーンが壮絶です。
しかし、その後子供たちは戻り、別の女性とともに4人で暮らすようになります。
うーむ、このあたりも謎。3人の女性がすべて同一人物で、子供たちの母親だと
解釈するとドラマ的には筋が通るのですが、はたして？
ラスト近くには、この映画で最もビックリさせられたシーンがあります。父親
と女性が何かをじっと見つめているところを10分以上も長回しで映したシーン
です。その間、父親が飲み物を飲む程度でほとんど動きがありません。最後の
ほうでそれぞれの表情が変わるだけ。予備知識なしに見た短気な観客は、怒り
出しそうなシーンです。
とにかく謎だらけで、わかりにくい映画です。楽しくもないし、ハラハラもし
ません。しかし、その分観客の想像力を刺激するのは間違いありません。観て
いるうちに色々なことを考えてしまいます。恐るべし、ツァイ・ミンリャン監
督。
これって、やっぱり家族の再生のドラマなんですかね？きっとそれも「自分で
考えろ」ってことなんでしょうね。
ツァイ監督は、本作を最後に劇場映画からの引退を発表したそうです。そうい
う意味でも観ておく価値はあるかもしれません。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年9月7日（日）シアター・イメージフォーラムにて。午後1時45分の回
[「ひ」のページ] |
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