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プロミスト・ランド（PROMISED LAND）
（2012年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督：ガス・ヴァン・サント
出演：マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマ
ンド、ローズマリー・デウィット、ハル・ホルブルック
＊TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国公開
ホームページ http://www.promised-land.jp/
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＜ストーリー＞
大手エネルギー会社の幹部候補スティーヴ（マット・デイモン）は、同僚の
スー（フランシス・マクドーマンド）とともに、田舎町のマッキンリーを訪れ
る。ここには良質なシェールガスが埋蔵していて、その採掘権を町ごと買い占
めようというのだ。初めのうち交渉は順調に進むが、地元の老教師が疑問を呈
したことから、採掘の可否を住民投票で決めることになる。さらにそこへ、環
境活動家のダスティン（ジョン・クラシンスキー）が乗り込んできて、事態は
思わぬ方向に進むのだが……。
＜レビュー＞
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貧しい町のエネルギー騒動。真摯な姿勢にあふれた映画
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名作『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』のマット・デイモン（脚本も
担当）とガス・ヴァン・サント監督が、再びタッグを組んだ映画。シェールガ
ス革命という今の時代を切り取った作品です。
主人公のスティーヴは大手エネルギー会社の社員。同僚のスーという女性とと
もに田舎町にやって来て、埋蔵されたシェールガスの採掘権確保のために、地
元住民を相手に買収工作を進めます。しかし、ある高校教師の発言をきっかけ
に、住民投票で採掘の可否を決定することに。それでも自信満々のスティーヴ
でしたが、そこに環境保護活動家がやってきて自体は混沌とします……。
金を武器に貧しい町の町民に取り入り、持ち上げたり、脅したり、有力者に賄
賂を贈るスティーヴたちのやり口が赤裸々に描かれています。しかし、それを
糾弾しているわけではありません。自らも貧しさで苦労したスティーヴは、よ
かれと思って買収工作を展開しています。そんな彼を中心にした人間ドラマと
して見せていく映画です。そこにはスティーヴの恋愛模様や、同僚スーの息子
との絆なども描かれています。
とはいえ、色々と考えさせられます。例えば、石炭や石油に代わるクリーンエ
ネルギーといわれるシェールガスですが、その採掘方法は本当に安全なのか？
あるいは採掘の代償として住民に支払われる金は妥当な金額なのか？などなど。
中でも注目は、アメリカの地方の貧しさです。映画の中で「マンハッタン（だ
っけ？）で採掘はしないだろう？貧しい田舎だからお前たちは来るんだ」みた
いな発言があるのですが、それって原発とかでも同じじゃないですか。日本に
とっても他人事ではない根深い問題ですよね。声高なメッセージを発していな
い分、逆にそういう問題がグッと胸に迫ってくるわけです。
映像が美しく細かな工夫が施されているのも、いかにもガス・ヴァン・サント
監督の映画らしいところです。
後半、事態が混沌とする中で、自身の仕事への信念や情熱が揺らいでいくステ
ィーヴ。それが決定的になるのがクライマックスのどんでん返し。え？まさか
あの人が……という展開です。
これについては賛否両論ありそうですね。リアリティに欠けるし、突然すぎる
し。でも、まあ、アメリカの観客を喜ばせるには、このぐらいのサプライズが
必要なのかもしれません。
それでもラストのスティーヴのスピーチ（というかつぶやき）には、作り手の
良心があふれています。これを観るだけで、この映画が良い作品だとわかりま
す。間違いなく今の時代を捉えていて、観る価値は十分にあります
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年8月29日（金）TOHOシネマズ シャンテにて。午後12時10分の回
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