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レッド・ファミリー（RED FAMILY）
（2013年 韓国）（上映時間1時間40分）
監督：イ・ジュヒョン
出演：キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン、パク・ビョ
ンウン、カン・ウンジン、オ・ジェム、パク・ミョンシン、キム・ジェロク
＊新宿武蔵野館ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://redfamily.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
郊外の住宅地に暮らす夫婦と娘、祖父の４人家族。ところが、彼らは妻役のベ
ク（キム・ユミ）を班長とする北朝鮮のスパイ・グループだった。理想の家族
を演じつつ、裏では祖国の指示に従い、偵察や脱北者の暗殺を行う彼らの隣の
家には、ケンカの絶えない一家が住んでいた。ベクたちは彼らを腐敗した資本
主義の象徴とバカにするが、両家族の交流が深まるにつれて、少しずつ心が変
化していく……。
＜レビュー＞
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スパイのニセ一家を通して描く家族というものの良さ
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『絶対の愛』『嘆きのピエタ』などで知られる韓国の鬼才キム・ギドク監督が
製作・脚本を担当した映画（この映画の監督は弟子のイ・ジュヒョン）。彼自
身の監督作は衝撃的だったり、重たいタッチの作品が多いのですが、今回は自
由に脚本を書いているせいか、理屈抜きに面白い映画です。
北朝鮮のスパイ一家を描いたドラマです。夫婦と娘、そして祖父の4人。ただし、
それが本物の家族ではなく、ニセの家族だというのがミソ。実は彼らは北朝鮮
のスパイなのです。
な〜んていうとシリアスなドラマのようですが、映画全体はコメディータッチ。
スパイのリーダーは妻役のベク。彼女が夫役や祖父役の男性をビシビシ叱責す
るところが、何となくユーモラスです。
もちろんシビアなところもあります。スパイなので、4人は上からの指示で偵察
や殺人を実行します。ニセ家族とはいえ、家族が協力して殺人をするというの
も、意外性があって面白いですねぇ〜。そして、そこには当然ながら苦悩や葛
藤も生まれてきます。
そんな苦悩や葛藤を増幅させていくのが、隣に住む家族との交流。この家族は
けっして幸福ではなく、妻がサラ金から借金をしたり夫婦仲が悪かったりと、
いろいろ問題を抱えています。だからこそ、逆に4人のスパイたちは、ホンモノ
の家族の良さを知っていくのです。そこでは、スパイ一家と隣人家族の同世代
の子供と、老人同士の恋心などもうまく絡ませて描かれます。
後半、思わぬことからスパイ一家は窮地に追い詰められ、究極の選択を迫られ
ます。そこで彼らはどんな決断をするのか……。
ラスト近くで、船の上で、4人のスパイ家族が隣の家族の会話を再現するシーン
が切なく、感動的です。
北朝鮮のスパイを描いたというと、政治的なテーマに思えるかもしれませんが、
この映画はそうではありません。風変わりなニセ家族を通じて、家族というも
のの本質に迫った映画です。その根底にあるのは人間性です。それは国や体制
に関係なく、普遍的なものであるはずです。
というわけで、そういうことを通してキム・ギドクの南北統一への願いも、そ
こはかとなく聞こえてくる映画なのでした。
娯楽性とテーマ性をうまくミックスさせた映画です。あんまり難しいことを考
えずに観ることをオススメします。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年10月5日（日）新宿武蔵野館にて。午後2時20分の回
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