レクイエム 最後の銃弾(掃毒/THE WHITE STORM)


(2013年 中国・香港)(上映時間2時間14分)
監督:ベニー・チャン
出演:ラウ・チンワン、ルイス・クー、ニック・チョン
*シネマート新宿にて公開。全国順次公開
ホームページ http://requiem-hknr.jp/
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<ストーリー>
幼なじみの警官ティン(ラウ・チンワン)、チャウ(ルイス・クー)、ワイ
(ニック・チョン)は、麻薬取締り班で活躍していた。チャウは麻薬組織のハ
クの組に潜入捜査し、タイの大物麻薬王ブッダに近づくチャンスを得る。だが、
ブッダの組織との取引現場に向った3人は追いつめられ、ワイを見殺しにして
しまう。5年後、左遷されたティンと、出世して麻薬捜査班のトップとなった
チャウの前に、香港の新興麻薬組織とブッダの組織の争いが起こる。そんな中、
意外な人物が彼らの前に現れて……。

<レビュー>
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3人の警官の友情と裏切りを描く香港ノワール
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いわゆる香港ノワールの映画です。『男たちの挽歌』『インファナル・アフェ
ア』など、数々の名作を送り出してきたこのジャンルも、さすがに通り一遍の
作品では飽きられると思ったのでしょうか。この映画には様々な工夫が施され
ています。

主人公はティン、チャウ、ワイという3人の警官。幼なじみの彼らのうち、チ
ャウは犯罪組織に潜入捜査をしています。しかし、妻が臨月ということもあり、
「もう普通の警官に戻してくれ!」と訴えています。それに対して上司のティ
ンは「この仕事がうまくいったら戻すから」となだめます。

うーむ、香港ノワールものによくありがちな設定ですね。ですが、この後が
色々と工夫してあるわけです。

チャウが潜入捜査している組織がタイの大物麻薬王ブッダと取引するという情
報をつかんだ3人は、タイ警察の協力で取引現場に出かけます。しかし、なぜ
か直前で取引は中止になり、警察側はブッダのヘリに爆撃されて壊滅状態。残
った3人は、娘を人質にして逃げるものの追い詰められて、ティンはブッダか
ら「捕まえた2人のうち1人だけ助けてやるから選べ」と迫られます。そして
……。

潜入捜査、警官同士の友情と裏切りなど、香港ノワールの定番ネタを押さえつ
つも、戦争映画も真っ青の派手な爆撃シーンを織り込み、究極の選択で観客を
ハラハラドキドキさせてくれます。

続いてドラマは5年後へ。責任を取って左遷されたティンに対して、チャウは
大出世しています。そんな中、香港の謎の新興麻薬組織がブッダの組織を襲う
事件が勃発。その黒幕として、なんとあの人物が登場するのでした!!

というわけで、いろんなものがテンコ盛りになった脚本です(クレジットには
なんと5人の名前が!)。中盤以降も、突然の人物の出現で驚かせ、チャウの
妻子の命の危機でハラハラさせます。さらに、ワイの老いた母親をうまく使っ
て男同士の友情を印象付けます(昔の武侠ドラマの主題歌も効果的)。もちろ
ん、その間にノワールらしい銃撃戦や武闘などのアクションもたっぷり。

従来のノワールものよりアクションが大掛かりになったりしてエンタメ性が高
まった分、男の哀愁などはやや物足りないかも。それでも、これだけあの手こ
の手で楽しませてくれるのだから、エンタメ映画としては合格点ではないでし
ょうか。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(86点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2014年9月11日(木)マスコミ試写(シネマート新宿)にて


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