ショート・ターム(SHORT TERM 12)


(2013年 アメリカ)(上映時間1時間37分)
監督・脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
主演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガー・Jr、ケイトリン・デヴァー、
ラミ・マレック、キース・スタンフィールド
*シネマカリテほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://shortterm12.jp/
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<ストーリー>
様々な事情で親と暮らせなくなり、心に傷を負った少年少女たちを預かる短期
保護施設"ショート・ターム"。ケアマネージャーのグレイス(ブリー・ラーソ
ン)は、同僚のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)と同棲している。ある
日、新しく入所した少女ジェイデンの世話をするようになったグレイスは、や
がて、自分自身のつらい過去と向き合うことになる……。

<レビュー>
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施設の職員と子供たちの姿を絶妙の距離感で
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デスティン・ダニエル・クレットン監督が自らの体験を基に撮ったアメリカの
インディーズ映画です。

舞台になるのは、虐待やネグレクトなど様々な事情で親と暮らせなくなり、心
に傷を負った少年少女を一時的に預かる施設。グレイスをはじめとする職員た
ちは、子供たちを一生懸命に立ち直らせようとしますが、そう簡単にはいきま
せん。それでも優しく、時には厳しく彼らと真摯に接していきます。

そんな少年少女の苦悩と再生、そして職員たちの奮闘ぶりをリアルな映像で描
写。手持ちカメラを使って、人物のアップを多用するのは、インディーズ映画
ではよくあるパターンですが、そこでの被写体との距離感が絶妙です。

涙ウルウルの感動物語になりがちな素材ですが、けっしてそうはしません。常
に被写体と一定の距離を置きながら、できるだけ冷静に描写しています。とは
いえ、突き放しているわけではなく、根底には人間に対する温かな視線があり
ます。

ドラマ的な転機は、施設に新しい少女ジェイデンが入ってくるところ。彼女の
面倒を見るうちに、グレイスは自分自身が抱える心の傷に向き合うことになり
ます。それによって、同僚で恋人のメイソンとの関係にも変化が訪れます。

ドラマが進んでも、全体のタッチはまったく変わりません。押しつけがましい
ところはまったくナシ。それが自然な感動につながっていきます。

終盤の激しい展開。グレイス自身とジェイデンの決断を巧みにリンクさせて、
エンディングにつなげるところも見事です。明確なハッピーエンドではないも
のの、未来に向けて希望の火をともし、観客を温かな気分にさせます。最後の
追いかけっこのシーンのようにユーモラスなシーンもあって、後味はとっても
いいです。各地の映画賞でたくさん賞を取ったのもうなずける、良質で良くで
きた映画ですね。

それにしても、この映画の出演者たちときたら、ほとんど無名なのに、大人も
子供もみんな素晴らしい演技をしています。アメリカの映画界の底力を感じて
しまいました。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(92点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2014年12月13日(土) 新宿シネマカリテにて。午後2時10分の回


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