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ソウォン／願い（HOPE）
（2013年 韓国）（上映時間2時間3分）
監督：イ・ジュンイク
出演：ソル・ギョング、オム・ジウォン、イ・レ、キム・ヘスク、キム・サン
ホ、ラ・ミラン、キム・ドヨプ
＊新宿シネマカリテほかに公開。全国順次公開
ホームページ http://hopemovie2014.com/
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＜ストーリー＞
平凡な夫ドンフン（ソル・ギョング）と妻ミヒ（オム・ジウォン）の娘で8歳の
ソウォン（イ・レ）が、ある雨の朝、登校途中に酔った男に襲われ、瀕死の重
傷を負ってしまう。絶望のあまり取り乱すドンフンとミヒ。追い打ちをかける
ように、病院にはマスコミが殺到する。さらに犯人逮捕のためにソウォンの証
言が求められる。そんな中、事件の恐怖が蘇り、ソウォンはドンフンに怯えて
しまう……。
＜レビュー＞
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ショッキングすぎる事件を通して描く家族の苦悩と再生
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韓国で2008年に実際に起きた女児暴行事件を題材に、被害者家族の苦悩と希望
を描いた映画です。監督は『王の男』のイ・ジュンイク。
冒頭は、シリアスな素材とは裏腹に穏やかでコミカルなタッチ。平凡すぎるド
ンフンとミヒの夫婦、そして娘ソウォンの生活が描かれます。しかし、まもな
く恐ろしい事件が起きて、３人は過酷な運命にさらされます。
何しろショッキングな事件だけに、観ているこちらも大きなショックを受けま
す。ソウォンが体にも心にも重たい傷を負っただけでなく、マスコミの好奇の
目にさらされ、さらに理不尽な裁判に翻弄されるところでは、怒りもこみあげ
てきます。
ただし、中心はあくまでも家族のドラマです。ソウォンが心理療法士と話す
シーンを通して、彼女の心の内を赤裸々に描き、同時にドンフンとミヒの親と
しての苦悩や怒りをリアルに映し出します。
家族を描くタッチは抑制的。けっして無理やり観客を泣かそうとはしません。
その一方で、理不尽な裁判劇や警察の対応などは、大げさなほどの描き方をし
て観客の感情をダイレクトに刺激します。このへんのバランスが巧みです。
ドラマが進むにつれて、観客の胸には次第に感動が湧きあがってきます。それ
は、家族３人がもがき苦しむ中で、少しずつ希望の光が見えてくるから。
その光を大きくするのが周囲の人たち。特にソウォンの同級生のヨンソクや彼
の家族が、傷ついた一家を支えていきます。そして、さらに新しい命が一家に
未来をもたらしてくれます。
ラストは、冒頭の事件前の日常と同じような一家の生活。当たり前の穏やかな
日常を取り戻すことにこそ、一家の再生があるのだという強い意志に基づく
シーンです。
まあ、とにかく脚本と演出がうまいですよ。実話モノというと、どうしても描
き方が臆病になってしまうのですが、そういうところが感じられません。ソウ
ォンと父の絆の修復を、キャラクターの着ぐるみを使って見せるところなんて、
小憎らしいばかりの仕掛けですもんね。
役者の演技もなかなかのもの、夫婦役のソル・ギョング、オム・ジウォンに加
え、娘役のイ・レが絶品。心の内を吐き出すシーンや裁判での証言シーン、ラ
ストの吹っ切ったような演技など涙なしには見られませんでした。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（91点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年8月10日（日）シネマカリテにて。午後3時35分の回
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