滝を見に行く


(2014年 日本)(上映時間1時間28分)
監督・脚本:沖田修一
出演:根岸遙子、安澤千草、荻野百合子、桐原三枝、川田久美子、徳納敬子、
渡辺道子、黒田大輔
*新宿武蔵野館にて公開。全国順次公開
ホームページ http://takimini.jp/
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<ストーリー>
幻の滝を見にいく紅葉ツアーに参加した7人のおばちゃんたち。だが、頼りな
いツアーガイドのおかげで、山道で迷子になってしまう。最初はどうにかなる
だろうと思っていた7人だが、次第に事態の深刻さに不安が募っていく。つい
に彼女たちは山中で夜明かしすることになるのだが……。

<レビュー>
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ゆるい笑いが満載の7人のおばちゃんたちの珍道中
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7人のおばちゃんたちが、滝を見に行くツアーに参加するものの、ダメなガイ
ドのおかげで道に迷い、山中で一晩を過ごす。たったこれだけの話なのに、抜
群に面白い映画です。

何しろ7人のキャラが立っているんですよ。自然観察が好きだったり、病気の
話ばかりしたり。ツアーに参加した理由も様々です。そんな7人の会話が楽し
くて、大したことが起きなくてもスクリーンに見入ってしまいます。

深刻なところはまったくナシ。オフビートの笑いが全編に散りばめられていて、
ついクスクスと笑ってしまいます。冷静に考えればヤバイ局面でも、何となく
のほほんとした雰囲気が流れます。みんなで縄跳びをしたり、太極拳をやった
り、歌を歌ったり。「そんな場合じゃないだろ!」と思わずツッコミを入れた
くなってしまうほどです。

7人がけんかしたり、協力したりして次第に関係を深めていくというのはよく
ある展開ですが、それを通して彼女たちの背負ったものがチラチラと見えてく
るのが印象的。夫を亡くしたり、男にフラれたり、まあ色々とあるわけです。

この映画の最大の成功要因は、おっさんでも、若者でもなく、おばちゃんたち
を主人公にした点にあります。しかも、「あんまり見たことのない女優さんた
ちだなぁ」と思ったら、演技経験を問わずにオーディションで選んだ人たちだ
そうです。本物の女優さんもいますが、まったく演技をしたことのない人もい
ます。それがまた独特の味わいと絶妙のハーモニーを生み出しているんですよ
ねぇ。人生の年輪みたいなものも、自然に見えてきたりして。

これは『南極料理人』『横道世之介』の沖田修一監督のアイデアと演出の勝利
ですね。文句なしに面白いコメディ。理屈抜きに楽しめるはずです。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(92点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2014年10月26日。東京国際映画祭P&I上映にて


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