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サード・パーソン（THIRD PERSON）
（2013年 イギリス・アメリカ・ドイツ・ベルギー）（上映時間2時間17分）
監督・脚本：ポール・ハギス
出演：リーアム・ニーソン、ミラ・クニス、エイドリアン・ブロディ、オリヴ
ィア・ワイルド、ジェームズ・フランコ、モラン・アティアス、キム・ベイシ
ンガー、ロアン・シャバノル、デビッド・ヘアウッド、オリバー・クラウチ
＊TOHOシネマズ 日本橋ほかにて全国公開
ホームページ http://third-person.jp/
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＜ストーリー＞
パリの一流ホテルに泊まるピュリッツァー賞作家のマイケル（リーアム・ニー
ソン）は、新作を執筆しながら、別の部屋に泊まる作家志望のアンナと不倫を
していた。ローマのとあるバーでは、アメリカ人ビジネスマンのスコット（エ
イドリアン・ブロディ）が、エキゾチックな美女モニカに心を奪われ、誘拐さ
れた彼女の娘を助けようとする。ニューヨークでは、元女優のジュリア（ミ
ラ・クニス）が、息子の親権を巡って別れた夫リックと激しく争っていた……。
＜レビュー＞
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男と女の3つのエピソードから浮き上がる人生
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『クラッシュ』『告発のとき』のポール・ハギス監督の映画。もともと脚本家
として有名だった人だけに、今回もよく考えられた脚本です。
3つのエピソードが同時進行するドラマです。パリではホテルに滞在中の有名作
家（でも、最近はスランプ）が、作家志望の女性と不倫をしています。ローマ
では、アメリカ人のビジネスマンがエキゾチックな美女に心を奪われ、誘拐さ
れたという彼女の娘を助けようとします。ニューヨークでは、心に傷を抱えた
元女優が、親権をめぐって夫と激しく争います。
それぞれのエピソードは、一見、無関係に進行します。どれもミステリアスな
雰囲気が漂うお話。何でもないものでも、意味ありげに見せたりして、ついつ
い興味をひかれてしまいます。「何だこれは？」「何がどうなっているん
だ？」。詳しい背景説明もないので、ますます引き込まれてしまいます。
3つのエピソードで最も面白いのは、ローマのアメリカ人ビジネスマンの話でし
ょうか。彼が惹かれる女性との間で繰り広げられる虚々実々の駆け引き。いっ
たい何が本当で、何がウソかわからなくなってきます。
それに対して、有名作家の不倫話は、途中までどうってことのない話に見えま
す。しかし、実はその不倫相手にも、ある大きな秘密があることがわかってき
ます。ついでに、この作家にはポール・ハギス自身が投影されているような気
がします。
また、元女優のエピソードも、それほど奇抜なものではありませんが、彼女が
精神的に問題を抱えているという設定が効いています。
最後のほうで、3つのエピソードがクロスし、人間ドラマが浮かび上がってくる
のがいかにもポール・ハギスらしいところ。3つのエピソードの登場人物は、い
ずれも過去の出来事で傷つき、深い絶望感や迷いを抱えています。それを通し
て人生の困難さや、悲しさが伝わってきます。特に親子関係に関するドラマが
よく描けています。
ラストも一筋縄ではいきません。微かな希望を灯す一方で、依然として迷い続
けるようすを描いたり……。
正直なところ、アカデミー賞を受賞した『クラッシュ』あたりに比べると、物
足りなさが残ります。それぞれのエピソードのツッコミが浅いんですよね。だ
から、途中でややダレてしまう。もう少し各エピソードを面白く見せて欲しか
ったです。
とはいえ、リーアム・ニーソン、ミラ・クニス、エイドリアン・ブロディあた
りの好演が、そういう欠点をかなりカバーしているので、それなりに見応えは
あります。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（85点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年6月22日（日）シネマロサにて。午後1時45分の回
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