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友だちと歩こう
（2013年 日本）（上映時間1時間29分）
監督・製作：緒方明
出演：上田耕一、高橋長英、斉藤陽一郎、松尾諭、山田キヌヲ、水澤紳吾、野
沢寛子、林摩耶
＊テアトル新宿ほかにて公開中
ホームページ http://www.tomodachito.com/
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＜ストーリー＞
郊外の団地でひとり暮らしをする老人、富男（上田耕一）。脚が悪い彼は、同
じ団地に住み、同じく体が不自由な老人、国雄（高橋長英）とともに、毎日一
生懸命に歩いて煙草を買いに行く。一方、30代のモウリ（松尾諭）は、親友の
トガシ（斉藤陽一郎）に付き合ってもらい、元妻のサツキに会いに行くのだが
……。
＜レビュー＞
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2組の男たちの友情。歩く姿が印象的
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評価の高かった映画『独立少年合唱団』『いつか読書する日』の緒方明監督と
脚本の青木研次が9年ぶりにコンビを組んだ映画。
同じ団地に暮らす体の不自由な独居老人の富男と国雄、そして大人になりきれ
ない30代のトガシとモウリという2組の男たちの友情物語。とはいえ、かなり変
わった映画です。
全体はオムニバス形式。第1話の「煙草を買いに行く」は、富男と国雄がタバコ
を買いに出かける話。第2話「赤い毛玉の犬」は、モウリが元妻の家に行く話。
第3話の「1900年代のリンゴ」は、煙草を買いに行ったまま帰らない国雄を富男
が探しに行く話。そして、第4話の「道を歩けば」では2組の男たちが交錯しま
す。
タイトル通りに「歩く姿」が映画の軸。2組の男たちが歩く姿が、様々な映像で
描かれます。ただ歩くだけなのに、とても良い味を出しています。サスペンス
フルだったり、ユーモラスだったり。特に第1話の富男と国雄の歩く姿が印象的。
足を引きずる富男、体を揺らせて歩く国雄を様々な角度からとらえています。
その中から、4人の男たちの人生も垣間見えてきます。第1話では、団地の4階か
ら飛び降りて骨折した女性と一緒に歩いたことをきっかけに、富男が過去の心
の傷をよみがえらせ、怪しい幻を見ます。
また、第2話では元妻の家に行ったモウリが、不思議な体験をして自分の過去に
向き合います。
細かな説明はまったくナシ。ユーモラスかつ淡々とドラマが進んでいきます。
それなりに色々なことが起きるけれど、ドラマティックなところはまったくあ
りません。
それでもほのぼのとした味わいの中から、微妙な人間関係の機微と同時に、人
生の痛みや苦しみ、情けなさなどが伝わってきます。
ラストの海辺のシーンも素晴らしいですね。観終わってほっこりとした気分に
なりました。
上田耕一、高橋長英、斉藤陽一郎、松尾諭という4人の役者の存在感も、この映
画の大きな魅力です。
いわゆるエンタメとは正反対の映画ですが（だから自主制作になったのでしょ
うけど）、映画の原点のようなものを感じさせてくれます。型にはめられずに、
自由に解釈して、楽しんでください。そうすれば、きっと何かが見えてくるは
ず。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年4月2日（水）テアトル新宿にて。午前10時の回
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