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とらわれて夏（LABOR DAY）
（2013年 アメリカ）（上映時間1時間51分）
監督・脚本：ジェイソン・ライトマン
出演：ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン、ガトリン・グリフィ
ス、トビー・マグワイア、トム・リピンスキー、クラーク・グレッグ、ブリー
ド・フレミング、イカ・モンロー、アレクシー・ギルモア、ルーカス・ヘッジ
ズ、ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク、ブルック・スミス、Ｊ・Ｋ・シモン
ズ、ディラン・ミネット、マイカ・フォウラー
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.torawarete.jp/
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＜ストーリー＞
アメリカ東部の小さな町。夫と離婚したアデル（ケイト・ウィンスレット）は
心の傷を抱え、一人息子のヘンリー（ガトリン・グリフィス）と暮らしていた。
レイバーデイを週末に控えた９月初旬のある日、スーパーに買い物に行った２
人は、ケガをした男に声をかけられ、自宅まで車で連れ帰るよう脅される。彼
の正体は脱獄してきたフランク（ジョシュ・ブローリン）という名の殺人犯だ
った。仕方なく彼をかくまうアデル。フランクは危害は加えないと約束し、家
事を手伝い、ヘンリーにも優しく接する。そんなフランクに、アデルは次第に
心惹かれていくのだが……。
＜レビュー＞
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脱獄犯に惹かれ再生する女性の心の軌跡
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『ＪＵＮＯ／ジュノ』『マイレージ、マイライフ』のジェイソン・ライトマン
監督の作品。過去の作品はシニカルな雰囲気がありましたが、この映画にそれ
はありません。
夫と離婚し、うつ状態になり、家に閉じこもるアデル。一人息子のヘンリーと
ともに、スーパーに行き、そこで謎の男に声をかけられ、かくまうように脅さ
れます。実は、彼は脱獄してきた殺人犯人だったのです……。
という冒頭は、サスペンスタッチの出だしですが、サスペンスではありません
（後半にハラハラするところはありますが）。何しろフランクというこの男は、
完全な善人。アデルとヘンリーに優しく接し、料理を作り、家を修理し、ヘン
リーに野球を教えます。それゆえ、アデルは彼に好意を持つのです。
「ありえねぇ〜」というお話です。おまけに３人がピーチパイをつくるシーン
や、フランクとアデルが一緒にバットを振るシーンなど、メロドラマみたいな
シーンもあります。
しかし、それでもこの映画が魅力的なのは、ラブロマンスの色を薄めたから。
むしろ、心に傷を負ったアデルという女性が、癒され、少しずつ立ち直ってい
く心の軌跡を中心に描きます。それを支えるのが息子ヘンリーの視点での語り
口。ちょうど思春期で性にも目覚め始めた彼の微妙な心理が、ドラマに奥行き
を与えています。
フランクが殺人を犯すに至った過去をフラッシュバックで挿入したり、ヘン
リーと不思議な少女との交流を描いたり、最後のほうでアデルの心の傷が離婚
だけが原因ではなかったことを明かす構成なども、なかなか効果的ですねぇ〜。
何より演じているのがケイト・ウィンスレットとジョシュ・ブローリンですか
ら。最初は普通のおばさん風だったのに、心の動きとともに少しずつ変化して
いくケイトの演技。男っぽさの象徴のようなジョシュの演技、どちらもこの映
画にピッタリです。大人になったヘンリーの役で、トビー・マグワイアもチラ
ッとご出演。
一見、安直に思える結末も、そこに至るまでの流れから「これしかない」と思
わせてしまいます。おかげで、観客はウソ臭さや甘々さを忘れて、温かな気持
ちで映画館をあとにできるのでした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2014年5月4日（日）TOHOシネマズシャンテにて。午後2時40分の回
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