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6才のボクが、大人になるまで。（Boyhood）
（2014年 アメリカ）（上映時間2時間45分）
監督・脚本：リチャード・リンクレイター
出演：パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リン
クレイター、イーサン・ホーク、マルコ・ペレラ、スティーヴン・チェス
ター・プリンス
＊ＴＯＨＯシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://6sainoboku.jp/
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＜ストーリー＞
テキサスの田舎町に住む6歳の少年メイソン（エラー・コルトレーン）は、母の
オリヴィア（パトリシア・アークエット）と姉サマンサ（ローレライ・リンク
レイター）との３人暮らし。父親のメイソン・シニア（イーサン・ホーク）は
離婚して別居中。オリヴィアは、キャリアアップを目指して大学へ入学し、メ
イソンとサマンサを連れてヒューストンに移り住む。メイソンは、父との再会
や母の再婚、初恋と、様々な経験を重ねていくのだが……。
＜レビュー＞
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同一キャストで12年間を描いた少年と家族のリアルな物語
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よくもまあ、こんなことを考えたものです。6歳の少年が大学に入学するまでを
描いたドラマ。ですが、主人公の少年を演じたエラー・コルトレーン（オーデ
ィションで選ばれたとか）、妹役のローレライ・リンクレイター（リチャー
ド・リンクレイター監督の娘）、母親役のパトリシア・アークエット、父親役
のイーサン・ホークを12年の歳月をかけて撮影して、１本の劇映画に仕上げて
しまったのです。
誰も12年後のことなんてわかりません。はたして、ちゃんと映画が完成できる
かのどうか。そんなリスキーな企画を実現したリチャード・リンクレイター監
督やスタッフは、もうそれだけでオスカーものでしょう。まさに映画史に残る
作品です。
おかげで、主人公の少年メイソンの成長の軌跡と、家族の歴史がリアルにスク
リーン刻み付けられています。ドラマの進行とともに、みんな自然に年を取る
わけですからねぇ。リアルにならないはずがない。もちろん劇中で起きること
はフィクションですが、それを越えた魅力があります。
それほど大きな出来事は起きません。別居した父との再会、母の再婚と離婚、
父の再婚、そして多感な思春期を送るメイソンの初恋、お酒やマリファナ。悩
み、苦しみ、喜びを経験しながら、少しずつ大人の階段を上るメイソンに誰も
が共感してしまうはず。
なにせ12年間を描くわけで、当然駆け足のところもあります。しかし、クドク
ドとナレーションで説明したりせず、編集の妙味で過不足なく描いているので、
戸惑ったり、意味不明に感じられることはありません。
イラク戦争やオバマの大統領選挙、ハリー・ポッターなどその時代のトピック
や音楽の使い方も効果的です。
ドラマの醍醐味の一つは、誰かの人生を追体験できること。それをここまでリ
アルに見せられたら、心を動かされないはずがないですよ。あまりにも濃密な
世界が展開して、2時間45分があっという間に過ぎていきました。
映画の最後で、メイソンが時間について語ります。まさしく、この映画には12
年間の一瞬一瞬の積み重ねの時間が刻み込まれています。だから、感動してし
まうのですねぇ。
メイサンが写真家を目指して大学に入学したところで、映画は終わります。そ
の続きのドラマは、観客ひとりひとりの頭の中で描かれていくことでしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（96点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年2月6日（金）新宿シネマカリテにて。午前10時30分の回
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