エール!(LA FAMILLE BELIER)


(2014年 フランス)(上映時間1時間45分)
監督:エリック・ラルティゴ
出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリ
ック・エルモスニーノ、ロクサーヌ・デュラン、イリアン・ベルガラ、リュ
カ・ゲルベルグ、マール・ソデュープ、ステファン・ヴォイトヴィッチ、ジェ
ローム・キルシャー
*新宿バルト9ほかにて全国公開
ホームページ http://air-cinema.net/
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<ストーリー>
フランスの田舎町で農業を営むベリエ家は、高校生のポーラ(ルアンヌ・エメ
ラ)以外、父ロドルフ、母ジジ、弟カンタンは耳が聞こえない。それでもポー
ラが対外的な交渉役となり、一家は明るく暮らしていた。そんな中、ポーラは
学校の音楽教師に歌の才能を見出され、パリの音楽学校のオーディションを受
けることを勧められる。だが、残される家族のことを思えば簡単に決断できな
いポーラだった……。

<レビュー>
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家族の絆と少女の自立。笑いと感動がたっぷり。
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フランスで大ヒットした家族のドラマです。

舞台となるのはフランスの田舎町。農業を営むベリエ一家は父、母、姉、弟の4
人家族。高校生の姉ポーラを除いて、あとは全員耳が聞こえません。そのため
ポーラは対外的な窓口役を果たしています。

しかし、まもなくポーラに転機が訪れます。学校の授業で、音楽の先生から歌
の才能を評価され、オーディションを受けるように勧められます。受かればパ
リの音楽学校に進むことになります。しかし、両親の反対もあってポーラは迷
います。はたして彼女の決断は?

障がいを持つ人のドラマというと、どうしても暗くなりがちですが、この映画
にはそんなものは微塵もありません。耳が聞こえるポーラはもちろん、家族全
員が超明るくて個性的。そんなキャラを生かした楽しい笑いが満載の映画です。
例えば、冒頭近くでは医者の前で両親が下ネタだらけの会話を展開、それを
ポーラが通訳する爆笑のシーン。

そんな中で描かれるのは家族の強い絆です。両親がポーラのオーディションに
反対するのは、ポーラがいなくなったら生活に困るからというよりも、今まで
ずっと一緒だった家族がばらばらになるのが怖いから。それほど強い絆で結び
ついた家族ですが、いつまでもずっと一緒というわけにはいきません。

というわけで、両親の心を溶かすのが学校での歌の発表会。そこでは耳の聞こ
えない両親の立場になった仕掛けを用意。ポーラの輝く表情で両親はすべてを
悟ります。

そして、最大のクライマックスはパリでのオーディションシーン。そこでも
ポーラの歌に、ある劇的な仕掛けをして観客を感動させます。これもまた見事
な仕掛けで、たいていの人なら心を動かされてしまうはず。

コーラス仲間とのポーラの初恋や、工場を誘致する計画に反対して父親が市長
選に出馬する話など、エピソードはテンコ盛り。ですが、けっして窮屈な感じ
はせず、ドラマをうまく盛り上げています。

ラストもお決まりのパターンではあるものの、自立するポーラの未来をスク
リーンに刻み付けて観客の心を温めてくれます。

歌が大きなウエイトを占めるドラマだけに、ポーラのソロやコーラスなど魅力
的な歌声もたっぷり。特にポーラを演じるルアンヌ・エメラは、オーディショ
ン番組から出たというだけに素晴らしい歌声。表情も魅力的でこの映画の役柄
にピッタリです。

家族の絆と少女の自立を生き生きと描いたドラマ。ゲラゲラ笑って、最後はき
っちり感動できます。私も完全に涙腺を刺激されました。元気になりたい方は
ぜひ!!!

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆(+1/2★)
(95点)
                             (田中ひろあき)

2015年11月1日(日)ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後4時15分の回


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