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悪党に粛清を（THE SALVATION）
（2015年 デンマーク・イギリス・南アフリカ）（上映時間1時間33分）
監督：クリスチャン・レヴリング
出演：マッツ・ミケルセン、エヴァ・グリーン、ジェフリー・ディーン・モー
ガン、エリック・カントナ、ミカエル・パーシュブラント、ダグラス・ヘンシ
ュオール、マイケル・レイモンド＝ジェームズ、ナナ・オーランド・ファブリ
シャス、ジョナサン・プライス
＊新宿武蔵野館ほかにて公開
ホームページ http://akutou-shukusei.com/
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＜ストーリー＞
1870年代のアメリカ。デンマークから新天地を求めてやって来た元兵士のジョ
ン（マッツ・ミケルセン）は、祖国から妻子を呼び寄せる。駅で７年ぶりに再
会し、駅馬車で家へと向かう３人。だが、馬車には刑務所帰りのならず者２人
が乗り合わせていた。ジョンは２人に突き落とされ、妻子を殺されてしまう。
必死で馬車の後を追ったジョンは、２人を射殺し復讐を遂げる。ところが、殺
された犯人の兄で、辺り一帯を牛耳る悪党のデラルー大佐が、ジョンの命を狙
うのだった……。
＜レビュー＞
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名優の魅力全開のデンマーク発の正統派西部劇
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西部劇です。ただし、アメリカ映画ではなく、デンマーク人監督による映画。
しかし、これが元祖もぶっ飛ぶ面白さなのでした。
全体の構図はシンプルな復讐劇。主人公は、デンマークからアメリカに新天地
を求めてやってきたジョンという元兵士。祖国に残してきた妻子を7年ぶりに呼
び寄せた彼は、さっそく妻子とともに駅から自宅へと向かいます。しかし、そ
の駅馬車に同乗していたのは刑務所帰りのワル。ジョンは馬車から突き落とさ
れ、妻子を殺されてしまいます。
というわけで、ここからジョンがワルをジリジリと追い詰めて、最後に見事に
復讐を果たすドラマだと思ったのですが、そうではありませんでした。なんた
って、妻子を殺されて間もなく、ジョンは復讐を遂げてしまうのです。え？じ
ゃ、この先どうするの？
いえいえ、ご安心を。この先もちゃーんと、スリリングな展開が用意されてい
ます。実は駅馬車に乗っていたワルの兄は、このあたり一帯を牛耳る大悪党。
こいつが弟を殺された恨みでジョンを狙います。でもって、ジョンはあっさり
捕まってしまいます。ところが……。
いやぁ〜、本当によくできた映画ですヨ。二転三転する展開で最後まで飽きま
せん。しかも映像がハンパでなく魅力的。荒涼とした土地の風景、闇夜の光景
など、見事な映像の連続です。全体を包む暗くて重たい雰囲気もいいですねぇ。
意表をついたカメラアングルも、緊張感をさらに盛り上げます。
そして、何よりも主人公を演じるデンマークの名優マッツ・ミケルセンの魅力
が全開です。『偽りなき者』（2012）でカンヌ映画祭主演男優賞を獲得してい
るし、『００７／カジノ・ロワイヤル』（2006）にも出ていたので日本でもけ
っこう知られていますが、もう見るからにクセモノの感じなんですよねぇ。
今回は寡黙でほとんど表情を変えない役。それでいながら、妻子を殺された悲
しみや敵に対する怒りなどの心の揺れ動きを、しっかりと表現しているからさ
すがです。
クライマックスは圧巻のバトル。大勢のワルたちに対して、ジョンがほぼ一人
で立ち向かいます。結果はわかっているのに、スリリングで目が離せません。
口のきけないワルの情婦の使い方も、心憎いばかりです。
奇をてらわない本格派の西部劇を、ここまで面白くするのだから大したもの。
西部劇好きでなくとも、一見の価値があります。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年7月8日（水）新宿武蔵野館にて。午後12時25分の回
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