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バケモノの子
（2015年 日本）（上映時間1時間59分）
監督・原作・脚本：細田守
声の出演：役所広司、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すず、山路和弘、宮野真守、
山口勝平、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、諸星すみれ、大野百花、津川雅彦、
リリー・フランキー、大泉洋
＊ＴＯＨＯシネマズスカラ座ほかにて公開
ホームページ http://www.bakemono-no-ko.jp/
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＜ストーリー＞
父親は行方不明で、母親が事故死した９歳の少年・蓮は、東京・渋谷の街角で
バケモノの世界「渋天街（じゅうてんがい）」から来た熊徹と出会う。熊徹は
一二を争う強さを誇る剣士だったが、粗暴な性格のため誰からも慕われず、弟
子がいなかった。孤独な蓮は、熊徹の強さに憧れ、バケモノの世界へ行くこと
を決意。熊徹の弟子となって九太という名前を与えられ、修行に励むのだが…
…。
＜レビュー＞
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孤独な少年とバケモノの成長物語。アニメの魅力が満載
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『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』の細田守監督の新作。ジブリ
の宮崎駿、高畑勲監督に続くアニメ作家の中で、トップランナーに位置するだ
けに、今回も見事な作品です。
主人公の少年・蓮は父が行方不明で母が事故死。親戚が引き取る話を拒否して
家出し、渋谷の街をさまよううちにバケモノの剣士・熊徹と出会います。熊徹
は「渋天街」というバケモノ世界の住人で、強いことは強いけれど、性格が悪
いため嫌われ者で弟子もナシ。しかし、孤独な蓮は渋天街に住んで熊徹の弟子
になることにします。
というわけで、１人の少年が異形の世界に身を置いて、成長していく物語です。
こういうネタはけっして珍しくありません。男女の違いはあるけれど、宮崎駿
の『千と千尋の神隠し』なども同じような世界かも。
ただし、この映画は、主人公の少年・蓮と乱暴者の剣士・熊徹が、お互いに影
響し合い、２人とも成長していくのがミソ。その周囲の人々も含めて、ユーモ
ラスに彼らの成長ぶりを描いています。
そして、この映画のさらにスゴイところは、その後の二転三転する展開です。1
7歳になった蓮は人間界に通じる道を見つけて、２つの世界を行き来するように
なります。そして、女子高生の楓と親しくなり、熱心に勉強するようになりま
す。そんな中で、蓮は「人間世界か？バケモノ世界か？」という選択を迫られ
るようになってきます。そこには、行方不明だった父の存在も絡んできます。
一方、渋天街では、宗師の後継者の座をめぐって熊徹とライバル猪王山の争い
が本格化。ついに両者は巨大スタジアムで対決します。ここは迫力満点のシー
ン。見応えたっぷりのクライマックス。
と思ったら、もう一つのクライマックスがその後にありました。渋谷の街を舞
台にしたバトルが展開。人間の心の闇をクローズアップした１対１の壮絶なア
クションが炸裂します。
こんな感じでたくさんの要素がテンコ盛り。なので、やや消化不良のところは
あるものの、観ている時はあまり気になりません。何しろ絵が素晴らしいんで
す。人間世界の渋谷の街、バケモノ世界の渋天街、現実とファンタジーとを問
わず、細かなところまで丁寧に描かれています。キャラクターたちの動きも魅
力的。
熊徹の役所広司、幼い蓮の宮崎あおい、成長した蓮の染谷将太、楓の広瀬すず、
大泉洋、リリー・フランキー、津川雅彦など声優陣もすべてハマリ役です。
最後は、温かな余韻を残すエンディング。アニメの長所をフルに発揮した見事
なエンターティメント映画でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
2015年7月14日（火）ＴＯＨＯシネマズ六本木ヒルズにて。午後7時の回
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