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ビッグ・アイズ（BIG EYES）
（2014年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督：ティム・バートン
出演：エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、
ジョン・ポリト、クリステン・リッター、ジェイソン・シュワルツマン、テレ
ンス・スタンプ、ジェームズ・サイトウ、デラニー・レイ、マデリン・アー
サー
＊TOHOシネマズ 有楽座ほかにて全国公開
ホームページ http://bigeyes.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
1958年。離婚を決意して幼い娘を連れて家を飛び出したマーガレット（エイ
ミー・アダムス）。やがて日曜画家のウォルター（クリストフ・ヴァルツ）と
出会い、結婚する。口が上手く社交的なウォルターは、マーガレットの描く瞳
の大きな子供の絵が注目されると、それを自分の絵と偽って売りまくる。そん
なウォルターの陰で黙々と絵を描き続けるマーガレットだったが、不満を募ら
せてハワイに逃れ、ついに真実を告白する……。
＜レビュー＞
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1960年代に起きたゴーストペインター騒動をユーモアをこめて描く
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ティム・バートン監督といえば毒をたっぷり含んだ映画が特徴ですが、今回は
あんまり毒がありません。それでも、なかなか面白い映画です。なんたって、
もとになった実話がスゴすぎますから。「人気画家の作品は、実は妻が描いて
いた！」という1960年代の大スキャンダルです。
ドラマはマーガレットという女性が、離婚を決意して、幼い娘とともにサンフ
ランシスコにやって来るところから始まります。そこで、語られるのが当時の
男性優位の社会状況。これが、このドラマの大きなバックボーンになっていま
す。
まもなく生活のために、マーガレットは得意の絵の腕前を生かして似顔絵描き
を始めます。そこで、ウォルターという日曜画家と知り合い、２人は結婚。ウ
ォルターは２人の絵を売り込みますが、注目されたのは自身の絵ではなく、
マーガレットの描いた目の大きな子供の絵。するとウォルターは、それを自分
の作品だと偽って売り出したのです。
それにしても「ビッグ・アイズ」というマーガレットの絵。いかにもティム・
バートンが好きそうな絵ですね。元祖ブサカワイイってところでしょうか。
さて、ウォルターは口八丁の男。絵を売り込む才能は抜群ですが、とんでもな
い嘘つきです。そんな男にマーガレットが従うのは、当時の男性優位社会が大
きく影響しています。「男の絵でないと売れない」とウォルターに言われ、教
会の神父からは「夫に従うべきだ」と言われたマーガレットは忍従の日々を送
り、黙々と夫のために絵を描き続けます。
しかし、次第に悩み葛藤するマーガレット。いくら暮らしが豊かになっても、
嘘をつき、秘密を抱えた日々に心は満たされません。そんなマーガレットの苦
悩を、周囲の人間がみんな目の大きな人に見えてしまうシーンで表現するあた
りは、いかにもティム・バートン監督らしいところかもしれません。
やがてマーガレットは、横暴なウォルターから逃れてハワイに行き、ラジオで
真実を告白します。そして、その後に待ち受ける裁判。この裁判シーンが爆笑
ものです。ウォルターの言動がオバカすぎます。あまりにもオバカで哀れにな
ってしまうぐらいです。
この映画からは、男性優位社会で苦悩の末に自立した女性のたくましさと同時
に、美術評価の難しさも伝わってきます。もしもウォルターが売り込まなけれ
ば、マーガレットの絵は売れなかったかもしれません。また、万博に出品予定
だった絵が、評論家の酷評によって評判がガタ落ちするあたりも、「美術って
何なのよ？」と思わせます。
映画的に傑作というわけではないにしても、実話の面白さを生かした魅力的な
映画になっています。エイミー・アダムスとクリストフ・ヴァルツの熱演も見
もの。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年1月24日（土）新宿シネマカリテにて。午後2時10分の回
[「ひ」のページ] |
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