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ぼくらの家路（JACK）
（2013年 ドイツ）（上映時間1時間43分）
監督：エドワード・ベルガー
出演：イヴォ・ピッツカー、ゲオルク・アルムス、ルイーゼ・ハイヤー、ネレ・ミュラー＝シュテーフェン
＊ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開
ホームページ http://bokuranoieji.com/
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＜ストーリー＞
ベルリンでシングルマザーの母と暮らす10歳のジャック（イヴォ・ピッツカー）と６歳のマヌエル（ゲオルク・アルムス）の兄弟。兄は弟の面倒をよくみていたが、ある日、誤って弟にヤケドをさせてしまう。それがきっかけで、ジャックは施設に預けられる。だが、あることから施設を飛び出したジャックは、知り合いの家に預けられていた弟を連れ出し、母を捜し始める……。
＜レビュー＞
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母親を捜す少年のサバイバル劇をリアルに
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ドイツ映画。ベルリンで暮らす幼い兄弟のドラマです。
シングルマザーの母親と暮らす10歳のジャックと６歳のマヌエル。母親はまだ若く遊びや男関係に走って、つい家を留守にしがちです。その分、兄のジャックが弟の面倒をよく見ているのですが、ある時、誤って弟にヤケドをさせてしまいます。それをきっかけにジャックは施設に入れられますが、あることからそこを脱出し、家に帰ろうとします。しかし、母は留守で家に入れず。そこでジャックは知人宅にいた弟を連れて、母を捜して街をうろつきます。
というわけで、幼い兄弟の3日間にわたる母捜し＆サバイバル劇が描かれます。
全編手持ちカメラで、兄弟に起こることをリアルに切り取っていきます。セリフは最小限。それでも、兄ジャックを演じたイヴォ・ピッツカーの圧倒的な存在感もあって、彼の心理がヒシヒシと伝わってきます。弟を気遣い、健気に母親を捜すジャックの姿が観客の胸を打ちます。
ただし、ウェットさとは無縁。劇的な盛り上げや感動の押し売りはしません。母親を無慈悲な女ではなく、子供に対する愛情が人一倍ある女性として描いているのも特徴。彼女なら、「子供を取るか男を取るか？」と聞かれたら即座に「子供！」と答えるでしょう。子供たちもそんな母親を慕っています（ジャックは母親の男に対して嫉妬心的な感情を示したりもします）。
しかし、それでも育児放棄的な行動に走ってしまうわけで、そのどうしようもなさがドラマをリアルに際立たせています。それによって、これが特殊なドラマではなく、より普遍的なドラマとして心に響いてくるのです。
そして、このドラマで最も印象的なのがラストのジャックの選択です。母親に放り出されたジャックが今度は……という展開ですが、その毅然とした態度が何ともいじらしいところ。それを決意する歯磨き中の彼の表情が、心にぐさりと突き刺さりました。
似たような素材を扱った是枝裕和監督の『誰も知らない』もそうでしたが、ああいうヒドイ状況の中でも必死に生き抜こうとする子供のたくましさに心を打たれます。観終わって、その後の兄弟の幸せを祈らずにはいられませんでした。
単純な感動ドラマではありませんが、観る価値は十分にある映画だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年9月21日（月）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後1時50分の回
[「ほ」のページ] |
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