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フレンチアルプスで起きたこと（FORCE MAJEURE／TURIST）
（2014年 スウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェー）（上映時間1時間58分）
監督・脚本：リューベン・オストルンド
出演：ヨハネス・バー・クンケ、リーサ・ローヴェン・コングスリ、クリスト
ファー・ヒヴュ、クララ・ヴェッテルグレン、ヴィンセント・ヴェッテルグレ
ン、ファンニ・メテーリウス
＊ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.magichour.co.jp/turist/
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＜ストーリー＞
フレンチアルプスの高級リゾートにスキーにやって来た４人家族。いつも仕事
で忙しい父親のトマス（ヨハネス・バー・クンケ）は、家族サービスに精を出
す。ところが、一家がテラスレストランで昼食をとっていると、人工雪崩が予
想を超えた規模に拡大し、テラスを襲ってくる。幸い無事だったものの、その
時トマスが妻のエバ（リーサ・ローヴェン・コングスリ）と２人の子供を置き
去りにして自分だけで逃げ出したことから、妻と子供たちはトマスに不信感を
抱き始める……。
＜レビュー＞
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幸せ家族に訪れた突然の危機を描く心理ドラマ
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タイトルにあるように、フレンチアルプスのリゾート地にスキーに来たスウ
ェーデン人一家の、五日間の滞在中に起きた出来事を描いています。
冒頭は、夫、妻、幼い姉と弟という家族４人が仲良く記念写真に納まるシーン。
いかにも幸せそうな一家の姿が観客に提示されます。
ところが、滞在２日目に早くも転機が訪れます。このリゾート地では、大きな
雪崩を防ぐために、人工的に雪崩を起こしています。一家がテラスレストラン
で食事をしていると、ちょうどその人工雪崩が起きます。それが予想以上に大
きくなり、あわやという事態になります。その時、何と父親のトマスは自分１
人で逃げ出してしまったのです。幸い全員無事だったものの、それから家族の
関係はギクシャクし始めます。
トマスは雪崩騒ぎの後も、何食わぬ顔で平然としています。それに対して、妻
のエバや子供たちは、少しずつ不信感や疑念を見せていきます。その見せ方が
抜群にうまいんですねぇ。ほとんどはホテルの中での会話を中心にドラマが進
むのですが、それが何ともスリリング。
さらに、同じホテルに宿泊するあるカップルを巧みに使って、エバの爆発へと
持って行きます。そして、それを機に、トマスは自己崩壊ともいうべき窮地に
追い詰められてしまいます。
このあたりの心理の変遷もサスペンスフルで、一級の心理ドラマに仕上がって
います。リューベン・オストルンド監督の視点は誰に寄り添うこともなく、徹
底してシニカルです。人口雪崩を起こす爆発音、大げさなビバルディの音楽な
ども独特の味を生み出しています。
通常、こういう素材の映画は家族の崩壊と再生を描きがちですが、この映画は
ちょっと違います。切り口はもっと広くて、男女の期待される役割の崩壊や、
危機に瀕した人間の行動など、様々なことを考えさせるつくりになっています。
なので、単純な家族ドラマだと思って観ると、裏切られる部分が多いかもしれ
ません。
ラストも、いかにも変わったつくりになっています。通常なら雪山での一家の
姿を描いて大団円となるところ。しかし、その後に予想外のバスのエピソード
を持ってくるあたり、やっぱり一筋縄ではいきませんね。この監督。
この映画、2014年のカンヌ国際映画祭で評判になったこともあって、アメリカ
でリメイクされるようですが、こんなユニークな映画をどう料理するんでしょ
う？
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年7月31日（金）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後12時20分の回
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