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はじまりのうた（BEGIN AGAIN）
（2013年 アメリカ）（上映時間1時間44分）
監督・脚本：ジョン・カーニー
出演：キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、ヘイリー・スタインフェルド、
アダム・レヴィーン、ジェームズ・コーデン、ヤシーン・ベイ、シーロー・グ
リーン、キャサリン・キーナー
＊シネクイント、新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://hajimarinouta.com/
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＜ストーリー＞
ニューヨークの小さなライブハウスで歌を披露するシンガー・ソングライター
のグレタ（キーラ・ナイトレイ）は、ブレイクしたミュージシャンの恋人デイ
ヴ（アダム・レヴィーン）に裏切られて別れたばかり。そんな彼女の歌を聞い
た落ち目の音楽プロデューサー、ダン（マーク・ラファロ）は、心を奪われ、
一緒にアルバムを作ろうと提案する。お金がなくスタジオが借りられない２人
は、ニューヨークの街角で次々とゲリラレコーディングを敢行していくのだが
……。
＜レビュー＞
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ライブレコーディングシーンの高揚感と開放感
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冒頭に登場するのはニューヨークのライブハウス。知人のミュージシャンにス
テージに上げられ、自作の歌を披露するシンガー・ソングライターのグレタ。
観客にはあまりウケないものの、１人の男が心を奪われます。
続いて、その男の今日一日の出来事が描かれます。彼はダンという音楽プロデ
ューサーで、かつてはグラミー賞までとったものの現在は落ち目で、会社をク
ビに。しかも、妻と娘とは別居中。
その後は、今度はグレタの過去が描かれます。音楽仲間で恋人のデイヴがブレ
イク。本来なら音楽のパートナーなのにただのカノジョ扱いされ、さらにデイ
ヴが他の女性を好きになって別れたことがわかります。
この時、グレタがデイヴの新曲を聴いて、彼の裏切りを知る仕掛けが秀逸。ま
た、ダンがグレタの曲を気に入る時に、彼の頭の中でドラムやベース、ストリ
ングスなど様々な楽器が加わっていくシーンも印象的です。この映画では音楽
がドラマの上で大きな役割を持っています。
ダンとグレタはレコード会社との契約を結ぶため、アルバムを作ろうとします。
しかし、お金がないため、ニューヨークの街角でレコーディングします。何度
か登場するこのレコーディングシーンが素晴らしいんですよね。救急車の音な
ど街の喧騒が入ったり、そこらへんで遊んでいるガキンチョのコーラスを録音
したり。何とも言えない高揚感と開放感が漂います。
特に、グレタがダンの娘にギターを弾かせ、ダンにベースを弾かせて、親子の
絆を取り戻させるレコーディングが最高です。キーラ・ナイトレイの歌声もス
テキで、思わず心がウキウキしてきます。まるでビートルズの『ゲット・バッ
ク』みたい。
音楽以外のシーンは正直に言ってテンションが下がります。後半でグレタとデ
イヴのその後の関係を描くところも、ちょっとグダグダな感じ。グレタとダン
の関係をロマンスに発展させないで、あくまでも音楽を仲立ちにした関係とし
て描いたところには好感が持てますけどね。
ラストはアダム・レヴィーン（人気ロックバンド「Maroon 5」のメンバー）の
歌声で盛り上げた後に、エンドロールで音楽業界にケンカを売って、グレタと
ダンの新たな出発をさりげなく描写。
『ＯＮＣＥ ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督の関心はやっぱり音
楽にあったようです。音楽の素晴らしさやそこに秘められたパワーが、十分に
伝わってくる映画です。フィクションではあるものの、音楽ドキュメンタリー
的な魅力に満ちています。観終わってサントラを買いたくなる映画はたくさん
ありますが、この映画は観ているうちから買いたくなりました。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
2015年2月23日（月）新宿ピカデリーにて。午後12時30分の回
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