|
ハッピーエンドが書けるまで（STUCK IN LOVE）
（2012年 アメリカ）（上映時間1時間37分）
監督・脚本：ジョシュ・ブーン
出演：グレッグ・キニア、ジェニファー・コネリー、リリー・コリンズ、ロー
ガン・ラーマン、ナット・ウルフ、クリステン・ベル
＊新宿シネマカリテほかにて公開
ホームページ http://happy-movie.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
ベテラン作家のビル・ボーゲンズ（グレッグ・キニア）は、すでに再婚した元
妻のエリカ（ジェニファー・コネリー）への付きまといがやめられない。一方、
娘のサマンサ（リリー・コリンズ）は、同じ大学に通う青年ルイス（ローガ
ン・ラーマン）から好意を持たれるが、両親の離婚の影響で恋愛に踏み出せな
い。ティーンエイジャーの息子ラスティ（ナット・ウルフ）は、クラスメイト
の女の子への初恋を打ち明けられずにいた……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
傷つき迷いながら前に進む家族を温かく見つめる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日本でも公開されたヒット映画『きっと、星のせいじゃない。』のジョシュ・
ブーン監督の2012年のデビュー作です。それぞれに問題を抱えた家族が、新た
な道を踏み出すまでを描いています。
父のビルは小説家ですが、3年前に離婚して他の男と再婚した妻が忘れられず、
ストーカー的な行為を続けています。娘のサマンサは、そんな両親の離婚のシ
ョックで愛や恋が信じられずにいます。そして、息子のラスティは好きな女の
子に告白することができません。そんな家族の感謝祭から次の感謝祭までの1年
間を描きます。
その間、サマンサは自作の小説が出版されるものの、「嫌いなタイプ」と公言
するルイスという青年から好意を持たれます。また、ラスティは父親に言われ
て勇気を出して告白するものの、相手がドラッグにはまっていることを知って
しまいます。そして、父のビルはセックスフレンドに励まされて、元妻を忘れ
て前に進もうとします。
こうして家族それぞれが前に進んだり、変化しようとするものの、現実にはな
かなかうまくいきません。そんな彼らを温かに見つめるブーン監督の視線が印
象的。『きっと、星のせいじゃない。』もそうでしたが、シリアスな要素があ
っても感情過多にならず、抑制的にユーモアを込めながら描いていきます。そ
れがこの監督の持ち味なのでしょう。
後半、家族それぞれに大きな変化が訪れます。みんな愛に迷い傷つきながら、
それでも少しずつ前進します。そして、その先に待っているのは和解と再生。
このあたりの展開は、やや都合良すぎの感じもしますが、監督自身の体験を反
映させて「ぜひ、こうあって欲しい」というラストにしたようです。その気持
ちは十分に伝わってきました。
ビルが小説家で、サマンサも小説を出版、ラスティも小説家志望ということで、
文学ネタが効果的に使われているのも、この映画の特徴。印象的なフレーズが
たくさん登場します。スティーヴン・キングが自ら出演（？）している場面で
は、思わず笑ってしまいました。
観終わって温かな気持ちになれるはず。「家族には、いろんな問題があって、
いろんな形があるけれど、それでも前に進んでいけるんだよ」というポジティ
ブな思いを持たせてくれる映画です。
ちなみにサマンサ役のリリー・コリンズって、ロックバンド「ジェネシス」の
フィル・コリンズの娘なのね。知らなかったぁ〜。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
2015年5月13日（水）マスコミ試写（映画美学校試写室）にて
[「は」のページ] |