|
イミテーション・ゲーム／エニグマと天才数学者の秘密
（THE IMITATIONGAME）
（2014年 イギリス・アメリカ）（上映時間1時間55分）
監督：モルテン・ティルドゥム
出演：ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グー
ド、ロリー・キニア、アレン・リーチ、マシュー・ビアード、チャールズ・ダ
ンス、マーク・ストロング
＊TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://imitationgame.gaga.ne.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
1939年。解読不可能といわれるドイツ軍の暗号機"エニグマ"を解読するために、
イギリスではＭＩ６のもとに様々な分野の精鋭が集められる。その中には、天
才数学者アラン・チューリング（ベネディクト・カンバーバッチ）の姿もあっ
た。だが、彼は共同作業に加わろうとせず、奇妙なマシンを作り始める。次第
に孤立するチューリングだったが、新たにチームに加わったクロスワードパズ
ルの天才ジョーン（キーラ・ナイトレイ）と親しくなるとともに、仲間との距
離を縮めていく。やがて、エニグマ解読まであと一歩のところまで迫るチュー
リングだったが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カンバーバッチの演技が光る天才数学者の孤独
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
第二次世界大戦中、天文学的な組み合わせパターンを持ち、解読は不可能とい
われたドイツ軍の暗号機"エニグマ"。その解読に挑んだ実在の天才数学者アラ
ン・チューリングの伝記映画です。
このチューリングという人物、確かに物凄い天才ですが、その一方で社会性が
まったくありません。ＭＩ６によって結成された暗号解読チームに参加するも
のの、「俺は解読マシンが作りたい。こいつらの首を切って予算を俺によこ
せ！」と主張し、首相にまで裏工作をします。
しかし、やがてクロスワードパズルの天才のジョーンという女性がチームに加
わったのをきっかけに、少しずつ仲間との関係を改善し、暗号解読に前進しま
す。
こうしてチューリングたちが暗号解読を進めるのが、ドラマの大きな柱。です
が、そればかりではありません。実はチューリングは、当時は犯罪者とされて
いた同性愛者。それゆえ、ジョーンとの関係にも複雑な影が忍び寄ります。
また、「暗号解読チームの中には、ソ連のスパイがいる」という話も登場しま
す。しかも、その背景にはＭＩ６のある思惑が絡んできます。
映画の後半では、チューリングたちが「多くの命を救うために、人々を見殺し
にするのか？」という究極の選択を迫られます。
このように、たくさんのネタが詰め込まれているために全体にツッコミ不足。
特にチューリングの人間ドラマとしての側面が、やや弱く感じられました。全
体の構成として、暗号解読に挑む戦中の話とその後のチューリングを描いた戦
後の話、そして彼の異人ぶりや同性愛のルーツを描いた幼少時代が並行して描
かれるのですが、これもあまり効果を発揮しているとは思えませんでした。
それでも、最後まで飽きずに観られるのは、現在のコンピュータにも通じると
いう暗号解読機の開発の顛末があまりにも面白いから。
そして、それ以上にチューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチの演
技が素晴らしいからです。テレビドラマの『ＳＨＥＲＬＯＣＫ（シャーロッ
ク）』の時から、癖のある役を演じさせたらピカイチの彼の才能が、見事に開
花しています。今回はノミネートだけで受賞は逃しましたが、アカデミー主演
男優賞を取ってもおかしくない演技。それだけでも、観る価値のある映画だと
思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（91点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年3月17日（火）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時30分の回
[「い」のページ] |