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人生スイッチ(RELATOS SALVAJES/WILD TALES)
(2014年 アルゼンチン・スペイン)(上映時間2時間2分)
監督・脚本：ダミアン・ジフロン
出演：リカルド・ダリン、オスカル・マルティネス、レオナルド・スバラーリ
ャ、エリカ・リバス、リタ・コルテセ、フリエタ・シルベルベルグ、ダリオ・
グランディネッティ
＊ヒューマントラスト有楽町ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://jinseiswitch.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
・「おかえし」――仕事の依頼を受けて、指定された飛行機に乗ったファッシ
ョンモデルは、彼女の元カレと隣の席の男に接点があったと知り驚く。ところ
が、やがて乗客全員が元カレと関わりがあることが判明する……。
・「おもてなし」――郊外のレストランにある男が入ってくる。ウェイトレス
の女は、その男が父を自殺に追いやり、母を誘惑した高利貸しだと気づく。そ
んな彼女に、料理人がある提案をする……。
・「エンスト」――ノロノロ運転の車にキレて、追い越しざまに罵声を浴びせ
る新車の男。だが、彼の車はパンクしてしまう。タイヤ交換を始めたところに、
さっきの車が追い付いてきて……。
・「ヒーローになるために」――ビルを爆破して解体する男。仕事を終えて娘
の誕生会のケーキを買っている間に、車をレッカー移動されてしまう。翌日、
陸運局の窓口で大暴れしたことから、彼は窮地に追い込まれるが……。
・「愚息」――ある裕福な男の息子が酒を飲んで、ひき逃げ事件を起こす。男
は顧問弁護士に相談し、使用人に身代わりになってもらうことにする。ところ
が、検察官にバレたことから……。
・「HAPPY WEDDING」――結婚式の最中に、新郎が招待した同僚が浮気相手だと
気付く新婦。泣きながら屋上に出ると休憩していたシェフに慰められ、いい感
じになるが、それを新郎に目撃される。開き直った花嫁は思わぬ行動に出て…
…。
＜レビュー＞
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たまった鬱憤が爆発して暴走する人々のブラック・コメディー
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アルゼンチンで大ヒットした全６話からなるオムニバスのコメディー。スペイ
ンの名匠ペドロ・アルモドバルがプロデューサーを買って出たというだけに、
なるほど面白い映画です。
どのエピソードにも共通しているのは、積もりに積もった鬱憤が爆発して、押
してはいけない人生のスイッチを押してしまった人々が描かれていること。そ
の多くは復讐や反撃のスイッチですが、それからの暴走ぶりがあまりにもすさ
まじくて、ついつい見入ってしまうのでした。
一見現実離れした話に思えるエピソードもありますが、話の組み立て方がうま
いので、それほど違和感はありません。また、ドラマの背景に社会の矛盾など
も織り込んで(人々から金をむしり取る役所だの、賄賂まみれの司法関係者だ
の)、それなりにリアリティーを持たせていたりもします。
何よりも、あそこまで極端にはならないにしても、誰でも鬱憤が積もって爆発
したくなる瞬間はあるもの。そういう人間の本性に根差したドラマだから、な
おさら面白いんでしょうねぇ。
人生のスイッチが入った人たちのその後は様々。ほとんどは悲劇的な結末です
が、思わぬ幸運に転がるケースもあります。それらを徹底してシニカルに、ブ
ラックユーモア満載で描いているのが大きな特徴。なかには、やりすぎ気味の
エピソードもありますが、笑えるのはかなり笑えます。
個人的には、短いけれど最初の飛行機の機内のエピソードが一番面白かったか
な。最後の結婚式のエピソードはやや冗長な感じがしました。まあ、それでも
かなり楽しめるのは間違いないでしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
(87点)
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年8月7日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後1時45分の回
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