きっと、星のせいじゃない(THE FAULT IN OUR STARS)


(2014年 アメリカ)(上映時間2時間6分)
監督:ジョシュ・ブーン
出演:シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、
ナット・ウルフ、サム・トラメル、ウィレム・デフォー
*シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://www.foxmovies-jp.com/kitto-hoshi/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
末期ガン患者で酸素ボンベが手放せない少女ヘイゼル(シャイリーン・ウッド
リー)は、両親に勧められて嫌々参加したガン患者の集会で、骨肉種で片脚を
切断した青年ガス(アンセル・エルゴート)と出会う。ガスはヘイゼルに恋を
するが、ヘイゼルは相手を傷つけることを恐れて距離を置こうとする。そんな
中、ヘイゼルが好きな小説の話がきっかけで2人は距離を縮めていく。その小説
は、物語の途中で唐突に終わっていた。どうしても続きが知りたいヘイゼルは、
ガスの尽力でアムステルダムに住む作者に会いに行くのだが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ウェットさを排し感動を押し付けない難病恋愛ドラマ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

難病ものをウェットに描かず、ユーモアを交えて明るく描くのが最近の潮流。
この映画も、そういうタイプの映画です。

主人公の少女ヘイゼルは末期ガン患者で、酸素ボンベが手放せません。そんな
彼女が、両親の勧めで嫌々参加した患者の集会で、骨肉種で片足を切断したガ
スという青年と出会います。というわけで、この2人の恋愛模様が描かれたド
ラマです。

ガスはすぐにヘイゼルを好きになるものの、ヘイゼルはなかなか前に進もうと
しません。ガスは病気が治まっているのに対して、ヘイゼルはあまり長く生き
られないため、彼を傷つけることを恐れて距離を置こうとするわけです。

そんな2人の揺れ動きをユーモアを交えて明るく描いています。2人ともちょ
っと風変わりで、シニカルなところがあるキャラクター。なので、面白いセリ
フが次々に飛び出します。脚本を担当したのは『(500)日のサマー』のスコッ
ト・ノイスタッター&マイケル・H・ウェバー。なるほどタッチが似ていますね。

2人の微妙な距離感をそれぞれの表情やしぐさで見せていく演出も、なかなか
のもの。難病という要素を取り除けば、ごく普通の若者の恋愛ドラマといえる
でしょう。

2人の距離を縮める道具として、ある作家の小説を使い、後半で彼に会いに行
く展開も秀逸。しかも、そこで波乱を起こし、その後の急展開へとうまく導い
ていきます。現実の厳しさや逃れられない運命など、これまた普遍的な青春ド
ラマの要素が前面に出ています。

とはいえ、そこはやっぱり難病ものですからね。完治したはずのガスが……と
いうあたりからは、冷静に考えればあざとい展開。でも、それをあまり感じさ
せず、最後は涙の感動にきっちり着地させています。

シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴートという若い俳優の頑張りに
加え、作家役のウィレム・デフォーの存在感がさすがです。

原作が『さよならを待つふたりのために』というヤングアダルト小説というこ
とで、10〜20代の若者は特に楽しめそうです。私らオッサンには、ちと厳しい
感じもありますが……。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(80点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年3月29日(日)シネ・リーブル池袋にて。午後1時30分の回



[「き」のページ]