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共犯（共犯／PARTNERS IN CRIME）
（2014年 台湾）（上映時間1時間39分）
監督：チャン・ロンジー
出演：ウー・チエンホー、チェン・カイユアン、トン・ユィカイ、ヤオ・アイ
ニン、ウェン・チェンリン、サニー・ホン、リー・リエ、アリス・クー
＊新宿武蔵野館ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.u-picc.com/kyouhan/
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＜ストーリー＞
孤独な男子高校生ホアン（ウー・チエンホー）は、偶然居合わせた同じ学校の
男子生徒リン、イエとともに、路地裏で女子生徒シャー（ヤオ・アイニン）の
死体を発見する。それまで言葉を交わしたこともなかった３人は、この出来事
をきっかけに距離を縮める。そして３人は、シャーがなぜ死に至ったのかを探
ろうと考え、少しずつ核心へ迫っていくのだが……。
＜レビュー＞
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「死」をめぐって絡み合う高校生たちのビターな青春
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台湾映画です。去年の東京国際映画祭で上映された時に、どうしても観たかっ
たものの、スケジュールが合わなくて見逃してしまった作品です。なので、さ
っそく観てきました。
この映画で、まず目を引くのが映像の素晴らしさです。冒頭で登場する水中を
男子生徒の死体が漂う幻想的で美しいシーンをはじめ、鮮烈でみずみずしい映
像が満載です。
ただし、事件の発端はこの男子生徒ではなく、別の女子生徒の死。３人の男子
高校生が、シャーという女子生徒の死体を偶然一緒に発見したことから、ドラ
マがスタートします。
この事件をきっかけに、同じ学校にいながらまったく接点のなかった３人の男
子高校生は、少しずつ距離を縮めていきます。そして、シャーがなぜ死んだの
か、その真相を知りたいと考えた３人は、シャーの周辺を探り始めます。
まったく先の読めない展開のミステリーです。３人の男子高校生が謎のメモな
どを頼りに、女子高生の死の真相に迫っていきます。その結果、彼女がいじめ
られていたという疑惑をつかんだ３人は、復讐に乗り出します。このあたりは
高校生の友情を描いた青春映画としての魅力も詰まっています。
しかし、その後事態は思わぬ方向に進んでいきます。冒頭のシーンにつながる
ある事件が起きて、タイトルにある「共犯」関係が生まれます。そのうちの１
人は自分ですべてを背負い込み、もう１人は事実を消し去ろうとします。そん
な２人の葛藤がドラマの大きなポイントになります。さらに、そこから女子生
徒の死にかかわる意外な真相も明らかになります。
このドラマの背景には、ＳＮＳによってどんどん噂が拡散していく世界、いじ
め問題、孤独な心といった、現代社会の若者を取り巻く状況がリアルに織り込
まれています。だから、なおさらミステリーとしても、青春映画としても、ス
リリングでリアルな世界が展開されていくのです。
前作『光にふれる』も評判になった台湾の若手監督チャン・ロンジー。今回も
見事な手腕を見せていますね。ほとんど演技経験のない新人が多いのに、彼ら
の能力をうまく引きだしています。
青春といえば甘酸っぱい思い出を連想しますが、大きな心の傷を負う出来事も
起きやすい時期。まさに、そんな青春を描いたビターな青春映画であり、同時
にミステリーとしての魅力も満載の映画です。台湾映画には数々の青春映画の
名作がありますが、この映画もそれに肩を並べる作品だと思いました。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年8月1日（土）新宿武蔵野館にて。午後12時50分の回
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