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女神は二度微笑む（KAHAANI）
（2012年 インド）（2時間3分）
監督：スジョイ・ゴーシュ
出演：ヴィディヤー・バーラン、パランブラタ・チャテルジー、ナワーズッデ
ィーン・シッディーキー
＊ユーロスペースほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://megami-movie.com/
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＜ストーリー＞
毒ガスによる地下鉄無差別テロ事件で多くの犠牲者が出たインドのコルカタ。
それから2年後、身重の女性ヴィディヤ（ヴィディヤー・バーラン）が、行方不
明になった夫アルナブを捜すために、ロンドンからやって来る。新米警官ラナ
（パランブラタ・チャテルジー）の助けを借りながら、夫を探すヴィディヤ。
だが、宿泊先にも勤務先にも、アルナブという人物がいた痕跡はない。そんな
中、夫に瓜二つのミラン・ダムジという危険人物の名前が浮上してくる。それ
を知った国家情報局のエージェントが捜索に介入し、ヴィディヤへの協力者が
何者かに殺害される……。
＜レビュー＞
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ハリウッド顔負けのスリリングなインドのサスペンス・ミステリー
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インド映画といえば歌と踊り。そんな固定観念を崩す映画です。
冒頭は謎のガスマスク男が登場。マウスを使った実験を行います。まるでホ
ラー映画みたい。
続いて地下鉄での毒ガスによる無差別テロが描かれます。この場面を注意して
見ておくこと。ラストのどんでん返しの伏線が張られています。というか、こ
の映画は全編に緻密な伏線が張られています。
そして、事件から2年後。ロンドンに住む妊婦ヴィディヤがやってきます。夫が
この街で失踪したというのです。彼女は新米警察官のラナの助けを借りて、夫
を探し始めます。
しかし、夫の痕跡は勤務先やホテルなど様々な場所から消されています。その
代わり、別の怪しい人物の存在が浮上してきます。その背後には、冒頭で描か
れた地下鉄での事件に絡む陰謀が見え隠れするようになります。
二転三転する展開に目が離せません。重要人物が殺されたり、主人公のヴィデ
ィヤ自身も命を狙われたりと、この手の映画の定石を踏まえつつ、スリリング
で先の読めない展開が続きます。ヴィディヤがＩＴの専門家ということで、ハ
ッキングなども登場します。
映像もいいですね。テンポが抜群にいいし、センスもあります。インドの街の
風景なども織り込みつつ、緊張感や混沌感を高めます。まるでミュージックビ
デオのような映像です。
追跡劇の合間では、ヴィディヤの様々な表情が描かれます。強気でひたすら夫
の姿をもためて突き進む姿、子供をはじめ周囲の人々を巧みに味方にしてしま
う人柄、そして時折見せる苦しみや悲しみの表情。これもまたラストで効いて
くるのです。
いよいよ真相に近づくヴィディヤ。クライマックスは広場でのお祭りのシーン。
絢爛豪華な祭りの中で、またしても危機を迎えるヴィディヤ。ところが……。
え！ え？ そうなの？ というわけで驚愕のどんでん返しが待っていました。
はたして、どれだけの観客が、このどんでん返しを予想していたでしょう。
とはいえ、ヴィディヤをまったく別の人間にしてしまうのではなく、そこに至
る経過をきちんと生かした仕掛けなので、唐突な感じはしません。
ヴィディヤを演じたヴィディヤー・バーランの多面的な演技が印象的。しかも
美しくてカッコいい！
とにかく最後までまったく飽きませんでした。歌も踊りもないけれど、とても
良くできたサスペンス・ミステリー。快作といってもいいでしょう。ハリウッ
ドも顔負けの充実度。さすがにやるな、ボリウッド。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年3月12日（木）ユーロスペースにて。午前11時の回
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