ナイトクローラー(NIGHTCRAWLER)


(2014年 アメリカ)(上映時間1時間58分)
監督・脚本:ダン・ギルロイ
出演:ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パ
クストン、アン・キューザック、ケヴィン・ラーム、エリック・ラング、ジョ
ニー・コイン、マイケル・ハイアット、マイケル・パパジョン
*新宿シネマカリテほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://nightcrawler.gaga.ne.jp/
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<ストーリー>
ロサンゼルスに住むルイス・ブルーム(ジェイク・ギレンホール)は、仕事も
なく、コソ泥をして暮らしていた。そんなある日、偶然遭遇した事故現場で、
ニュース映像専門のパパラッチ「ナイトクローラー」の存在を知り、自分もや
ってみようと思い立つ。さっそくビデオカメラと無線傍受器を手に入れ、警察
無線を傍受して事件や事故の現場に駆けつけ、悲惨な映像を撮影していくルイ
ス。過激な映像で高額な報酬を得るようになるが、さらに過激な映像を求めて
一線を越えてしまう……。

<レビュー>
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過激さを求めて一線を越える報道パパラッチの狂気
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アメリカには、警察無線を傍受して、事件や事故の現場に駆け付けてその映像
を撮影し、テレビ局に高額で売りつける「ナイトクローラー」と呼ばれる報道
パパラッチがいるそうです。それをテーマに据えた映画です。

ロサンゼルスに住む主人公のルイスという男は、これといった仕事もなく、コ
ソ泥をして暮らしています。ある日、たまたま事故現場でナイトクローラーを
目にした彼は、「自分もやってみよう」と思い、ビデオカメラと無線傍受器を
手に入れて仕事を始めます。

というわけで、ルイスという男を通して、ナイトクローラーの行状を描いた映
画ですが、つくり手の意図はそこにとどまりません。そういう存在を生み出し
た今の世の中全体を告発しています。

ナイトクローラーの背後にいるのは、激しい視聴率競争の中でどんどん過激な
映像を求めるテレビ局の存在があります。この映画では、レネ・ルッソ演じる
女性ディレクターがそれを体現しています。

そして、そういうテレビ局のバックには、まじめな報道なんかよりも刺激的な
事件・事故を見たがる困った視聴者がいるわけです。この映画のルイスも、そ
ういう環境の中で、どんどん暴走していきます。

そんなルイスを演じるジェイク・ギレンホールの演技が絶品です。この人、
『ブロークバック・マウンテン』などで過去にも印象的な演技を披露してきま
したが、あまりアクの強い感じではありませんでした。しかし、今回はアブな
すぎます。コワすぎます。にわか仕込みの知識を武器に、いかにも正論のよう
なことを口にするその姿は、まるでITベンチャーの経営者みたい。そこから
漂ってくる狂気にゾクゾクさせられます。

その狂気を引き立てるダン・ギルロイ監督の演出も見事。特に大都会の夜の怪
しくヒリヒリするような雰囲気をそのまま切り取った映像に、ノックアウトさ
れてしまいました。主人公のセリフ回しなど脚本もよくできています。

さて、最初から緊張感が途切れないままに後半に突入。暴走する主人公が一線
を越える、という展開は予想できましたが、そこに巧みなひねりを加えてハラ
ハラドキドキの展開に持っていき、同時にルイスの狂気を鮮烈に焼き付けるク
ライマックス。これまたコワすぎます。

その後に登場するシーンで、ジェイク・ギレンホールとレネ・ルッソが見つめ
合うシーンは、狂気と狂気の二重奏。いやぁ〜、恐ろしいですね。

こんな連中が大活躍するアメリカのテレビ界は完全に病気。まあ、日本も絶対
にこうならないという保証はないわけですが。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(93点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年8月24日(月)新宿シネマカリテにて。午後2時の回


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