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日本のいちばん長い日
（2015年 日本）（上映時間2時間16分）
監督・脚本：原田眞人
出演：役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、山崎努
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://nihon-ichi.jp/
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＜ストーリー＞
太平洋戦争末期の1945年7月、連合国軍にポツダム宣言受諾を要求された日本政
府は、降伏か本土決戦かで揺れていた。連日連夜の閣議で議論は紛糾し、結論
が出なかった。そんな中、広島、長崎に相次いで原子爆弾が投下される。敗色
濃厚にもかかわらず、陸軍の一部は本土決戦を主張。阿南惟幾陸軍大臣（役所
広司）や鈴木貫太郎首相（山崎努）、そして昭和天皇（本木雅弘）は決断に苦
悩するのだが……。
＜レビュー＞
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戦争終結に至るまでの経緯をスリリングかつ骨太に
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半藤一利の有名なノンフィクション「日本のいちばん長い日 決定版」を、
『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』の原田眞人監
督が映画化しました。
タイトルの「日本のいちばん長い日」とは、終戦前夜の最後の一日のこと。た
だし、いきなりそこから描いたのではワケがわからんということで、その数カ
月前の鈴木貫太郎首相の就任から話を始めています。
鈴木首相は当初から、戦争終結を企図しています。しかし、政府のお偉方はな
かなか決断できません。連合国軍にポツダム宣言受諾を要求されても、東京大
空襲があっても、議論は紛糾するばかり。
そんな連中を相手にして、鈴木首相や彼に任命された阿南陸相、そして昭和天
皇が、どうやって戦争を終わらせたかというのが、大きな見どころになります。
何しろそうした史実が面白いだけに、それを十分に生かした歴史ドラマを展開。
骨太で力強いタッチで、歴史の転換点を描き出します。
人物が魅力的なのも大きな特徴。例えば阿南陸相は、陸軍の徹底抗戦派を前に
彼らに迎合するような態度を取りつつ、その裏で鈴木首相に従って戦争を終わ
らせるために努力します。また、妻との夫婦愛など家族のドラマも描かれてい
ます。個性派の鈴木首相、静かな決意を秘めた昭和天皇ともども、ステレオタ
イプなヒーローではなく、厚みのある人物像が見えてきます。
まるでホンモノのようなロケ場所など、舞台装置も完璧で、歴史の重みを感じ
させてくれます。
そして、この映画の大きな特徴は、いかにも原田眞人監督らしく、エンターテ
ィメントとしてきちんと成立させているところです。特に終戦前夜の玉音放送
の録音盤をめぐる攻防はスリリングで、サスペンスドラマ的なお楽しみがあり
ます。反乱軍を率いる畑中少佐や、内閣書記官の迫水らの活躍も印象的。
阿南陸相役の役所広司、鈴木首相役の山崎努、昭和天皇役の本木雅弘などキャ
ストの演技も見応えあり。特に本木の昭和天皇は、晩年の姿しか知らない私に
とって、なかなか興味深いものでした。
というわけで、気楽に観ても十分に楽しめる映画なのですが、やっぱりそれだ
けでは終わりませんね。国民の苦境をよそに権力争いに終始し、何も決められ
ずにいる為政者たちの愚かしさ、そして何よりも、戦争というもの自体の愚か
しさが伝わってくる映画でした。
そういう意味で、再び日本が戦争に引きずり込まれそうな（安倍さんが何言っ
ても、その可能性が高まるのは事実だからね）今の日本だけに、観ておくべき
映画だと思いました。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
2015年7月25日（土）松竹本社試写室にて。
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