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の・ようなもの のようなもの
（2015年 日本）（上映時間1時間35分）
監督：杉山泰一
出演：松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、野村宏伸、
鈴木亮平、ピエール瀧、佐々木蔵之介、塚地武雅、宮川一朗太、鈴木京香、仲
村トオル、笹野高史、内海桂子、三田佳子
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.shochiku.co.jp/movie/sugiyamagumi/
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＜ストーリー＞
東京、谷中。30歳で脱サラして落語家になった出船亭志ん田（松山ケンイチ）
だが、いまだに前座で、師匠・志ん米（尾藤イサオ）の自宅に住み込み修行中。
想いを寄せる師匠の娘、夕美（北川景子）からは、"小学生が国語の教科書を読
んでいる"ような落語といわれる。そんな中、志ん田は志ん米から、落語家を辞
めて行方知れずの兄弟子・志ん魚（伊藤克信）を捜し出すように命じられる。
志ん米の師匠・志ん扇の十三回忌に開かれる追善の一門会に、スポンサーであ
る斉藤後援会長（三田佳子）のご機嫌をとるため、彼女のお気に入りの志ん魚
を復帰させようというのだ。志ん田は、必死で志ん魚を捜すのだが……。
＜レビュー＞
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森田芳光監督への愛があふれた劇場デビュー作の続編
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故・森田芳光監督の劇場デビュー作『の・ようなもの』（1981年）。駆け出し
の落語家・志ん魚（しんとと）と風俗嬢、そして落語研究会の女子高生との三
角関係を中心に描いた青春ドラマでした。この映画は、その35年後を描いた続
編。
主人公は30歳で脱サラして落語家になった出船亭志ん田（しんた）。ヘタな前
座落語家の彼は、師匠の志ん米から、志ん魚という行方不明の元落語家を捜す
ように命じられます。志ん米の師匠・志ん扇の十三回忌に開かれる追善の一門
会のスポンサーが、志ん魚がお気に入りだったため、ご機嫌とりのために復帰
させようというのです。
やがて、想いを寄せる師匠の娘、夕美の協力もあって、志ん田は志ん魚を見つ
け出すものの、彼はもう落語をやる気はありません。そんな彼の心を動かそう
と必死になる志ん田ですが……。
というわけで、前作の主人公だった志ん魚を、今回の主人公の志ん田が捜すと
いうお話ですね。物語の中心は、志ん田と志ん魚の交流。それを通して、ダメ
ダメな落語家だった志ん田は少しずつ成長していきます。一方、落語を捨ては
ずの志ん魚も再び落語愛に目覚めていきます。
驚くような展開はまったくなし。悪人も一人も登場しません。それでも、志ん
田と志ん魚の落語で盛り上がるクライマックスを経て、ラストではぽかぽかと
心が温まってきます。ダメな人間を温かく見守る視線は、まるで森田監督自身
の作品のようです。
何しろこの映画のスタッフは、森田組の助監督だった杉山泰一監督をはじめ、
森田作品に縁の深いスタッフが中心。
そして出演者も、『の・ようなもの』の主演だった伊藤克信をはじめ、尾藤イ
サオ、でんでんなどが、前作と同じ役柄で登場。その他にも、『僕達急行、Ａ
列車で行こう』の主演だった松山ケンイチ、『間宮兄弟』で映画初出演を果た
した北川景子など主要キャストはもちろん、ワンシーンだけ出演する有名俳優
まで、みんな森田作品に出演した経験を持つ人たち。
それだけに森田愛にあふれた映画です。きっと天国の森田監督も、喜んでいる
のではないでしょうか。
過去の森田作品のエッセンスが、あちらこちらに込められているので、できれ
ば森田作品を事前に観ておきたいところ。特に『の・ようなもの』は観ておい
たほうがいいと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年1月22日（金）新宿ピカデリーにて。午前11時20分の回
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