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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分（LOCKE）
（2013年 イギリス・アメリカ）（上映時間1時間26分）
監督・脚本：スティーヴン・ナイト
出演：トム・ハーディ
声の出演：オリヴィア・コールマン、ルース・ウィルソン、アンドリュー・ス
コット、ベン・ダニエルズ、トム・ホランド、ビル・ミルナー
＊YEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.onthehighway.net/
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＜ストーリー＞
夜のハイウェイを走る車。運転するのは建設現場の現場監督アイヴァン・ロッ
ク（トム・ハーディ）。仕事も順調で、家庭でも妻と２人の子供と幸せに暮ら
す彼だったが、ある女性からの緊急の電話でロンドンへと車を走らせる。家族
とのサッカー観戦の約束も破り、明日の建設プロジェクトの着工も放り投げて
彼はどこに向かうのか……。
＜レビュー＞
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たった一人の車中の会話から生まれる緊迫のドラマ
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なんと、この映画の登場人物はたった１人。しかも、走る車の中の電話でのや
り取りを中心にドラマが進むユニークな作品です。それなのに、1時間26分、ま
ったく飽きませんでした。
主人公は、建築現場の現場監督のアイヴァンという男。仕事も順調で、妻と２
人の子供とも幸せに暮らしています。ところが、映画の冒頭から、アイヴァン
は車に乗り込み、どこかへ急いで向かいます。
その車内で次々に交わされる電話でのやり取り。本当は自宅でサッカー観戦す
るはずだった家族、明日の高層ビルの大仕事を控えた建築現場の関係者、そし
て謎の女……。それらの相手との会話の中から、今アイヴァンがどういう状況
なのかが明らかになります。そして、アイヴァンはすべてを失い、怒り、悲し
み、後悔し、絶望するのでした。
これを車中の会話だけで表現するのだから大したものです。脚本が実によくで
きています。電話での会話に加え、どうやら亡き父を嫌悪しているらしいアイ
ヴァンの独白も効果的に使われ、彼の感情がリアルに伝わって来ます。まるで
ドキュメンタリーを見ているような気分になって、緊張感が最後までまったく
途切れませんでした。
まあ、起こっていることの大枠は、ベタなメロドラマにでもなりそうな話なの
で、これを普通にやったらつまらないですよね。それがこういうユニークな設
定にしたことで、俄然面白いドラマになりました。
映像も魅力的です。車のガラス越しに映る夜の街が、怪しく不気味です。周囲
を走る車ともども、不穏な空気を生み出しています。
『イースタン・プロミス』などの脚本で知られるスティーヴン・ナイト監督の
脚本・演出の大勝利。それにもまして素晴らしいのが、主演のトム・ハーディ。
『ダークナイト ライジング』でその存在感を見せつけ、『マッドマックス』に
も出演するなどノリにノッている彼。今回は、主人公の感情の揺れ動きを繊細
に表現しています。
欲を言えば、謎の女の素性はもう少し後まで引っ張っても良かったかも。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年7月12日（日）YEBISU GARDEN CINEMAにて。午後2時20分の回
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