ピエロがお前を嘲笑う(WHO AM I - KEIN SYSTEM IST SICHER)


(2014年 ドイツ)(上映時間1時間46分)
監督:バラン・ボー・オダー
出演:トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリ
ング、アントニオ・モノー・Jr、ハンナー・ヘルツシュプルンク、トリー
ヌ・ディルホム、シュテファン・カンプヴィルト
*新宿武蔵野館ほかにて公開
ホームページ http://pierrot-movie.com/
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<ストーリー>
ハッキング事件で世間を騒がせ、殺人容疑もかかった天才ハッカーのベンヤミ
ン(トム・シリング)が突然、警察に出頭してくる。自白によれば、孤独だっ
たベンヤミンはマックスという男と出会い、ハッカー集団"CLAY(クレイ)"に
参加し、手当たり次第にハッキングを繰り返したものの、自身が盗んだ情報を
元に殺人事件が起こり、命を狙われているという。警察は裏付け捜査を進める
のだが……。

<レビュー>
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孤独なハッカー青年の告白。最後には驚愕のトリックが
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ドイツ映画です。宣伝文句は「マインドファック・ムービー」。つまり、映画
全体を覆すほどのトリックや結末が用意されている映画だそうです。

主人公は父が失踪し、母が自殺し、育ててくれた祖母が認知症という孤独な青
年のベンヤミン。彼は突然警察に自首してきます。その告白をもとにドラマが
進行します。それによれば、彼はある男からコンピュータの知識を買われてハ
ッカー集団に加わり、次々とハッキング事件を起こして世間の話題を集めたも
のの、盗んだ情報が原因で殺人事件が起き、自身の身も危険になったとのこと。

ベンヤミンの告白に基づいて過去の出来事が描かれたのち、ラストには驚きの
トリックが用意されています。一度どんでん返しをしてそれまでのすべてをひ
っくり返し、さらに最後にもう一度どんでん返しが……。

これには完全にダマされてしまいましたね。トリックの背後にはベンヤミンの
「孤独」という状況があるから、なおさらダマされてしまうんですヨ。とにか
くお見事の一語。このラストだけでも見て損はしないと思います。

トリックばかりが強調されていますが、人間ドラマとしてもそれなりにちゃん
と描けています。孤独で好きな女の子ともまともに話せない青年が、ワル仲間
と知り合い戸惑いつつ犯罪に手を染め、その高揚感に取りつかれます。しかし、
ちょっとした暴走がきっかけで、とんでもないことになってしまいます。これ
って、典型的なダメ男の成り上がり&転落のドラマですね。

それと同時に、実際にハッカーが暗躍する現在の時代状況を背景に、ハッカー
たちの生態をリアルに描き出します。テンポの良い映像と音楽も魅力。怪しい
ピエロのイメージなど雰囲気作りも巧みです。詳しいハッキングの手口などわ
からなくても、ついつい引き込まれてしまいます。

この映画、すでにハリウッドリメイクが決まっているとか。はたして、どんな
映画になるのでしょうか。楽しみです

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(85点)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年10月6(火)新宿武蔵野館にて。午後12時10分の回


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