サンバ(SAMBA)


(2014年 フランス)(上映時間1時間59分)
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、イ
ジア・イジュラン、イサカ・サワドゴ、エレーヌ・ヴァンサン、リヤ・ケベデ
*TOHOシネマズ 日本橋、新宿武蔵野館ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://samba.gaga.ne.jp/
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<ストーリー>
セネガルからフランスに来て10年になる青年サンバ(オマール・シー)。だが、
ビザの更新を忘れてしまったため、国外退去を命じられる。窮地に陥ったサン
バを救おうと手を差し伸べた移民支援協会のボランティアの女性アリス(シャ
ルロット・ゲンズブール)は、サンバに興味を抱き、彼のために尽力する。サ
ンバの不思議な魅力に惹かれていくアリスだったが……。

<レビュー>
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移民の青年と心を病んだ女性との交流
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日本でも大ヒットした『最強のふたり』のオリヴィエ・ナカシュ&エリック・
トレダノ監督と、主演のオマール・シーが再びタッグを組んだ映画。

「サンバ」といってもダンスのことではありません。主人公の移民の青年の名
前。10年もフランスで働いているのに、突然国外退去になってしまったサンバ。
彼を助けようとする移民支援協会。そこでボランティアをしている女性アリス
と知り合います。2人は次第に心を通わせるものの……というお話。

このドラマの根底には、フランスの現在の移民をめぐる問題があります。10年
も働いていたのに突然国外退去になってしまうサンバをはじめ、様々な理由で
苦境に陥った移民たちの姿を描くことで、現状への問題提起を行っています。

とはいえ、それを前面に出したり、声高に何かを叫ぶのではなく、あくまでも
楽しくて小粋なエンタメ映画に仕上げているのが、この作品の特徴です。

物語の中心となるサンバとアリスの交流では、アリスが燃え尽き症候群で心を
病んでいるという設定がミソ。苦しみを共有し、ともに助け合う2人。それによ
って2人の接近ぶりがごく自然に感じられます。お手軽なラブロマンスとはひと
味違う雰囲気です。

サンバを人間臭いキャラにしているのも魅力。けっして完全無欠な男ではなく、
友達の彼女に手を出したり、突然ブチ切れたりします。印象的な笑顔の効果も
あって、憎めないやつだと感じさせられます。

笑えるシーンもたっぷり。特にサンバの移民仲間のウィルソンという男のノー
テンキなキャラを生かした笑いが秀逸です。サンバとの掛け合いも漫才のよう
で笑えます。

ラストはそれまでとは一転、衝撃的で重たい結末かと思わせた後で、温かで余
韻の残るエンディングへ。同時に、移民問題の根深さをチラリと見せる心配り
も忘れません。

オマール・シーは今回もはまり役ですが、シャルロット・ゲンズブールもさす
がの演技です。心を病んだ姿や、サンバに心惹かれてキラキラするところなど
様々な表情を見せてくれます。

まあ、とにかく良くできているし、全体のバランスも良い映画です。突き抜け
たところはないけれど、誰でも楽しめそうですね。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(86点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年1月5日(月)新宿武蔵野館にて。午後1時10分の回


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