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セッション（WHIPLASH）
（2014年 アメリカ）（上映時間1時間47分）
監督・脚本：デイミアン・チャゼル
出演：マイルズ・テラー、Ｊ・Ｋ・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・
ブノワ、オースティン・ストウェル
＊ＴＯＨＯシネマズ新宿ほかにて全国公開
ホームページ http://session.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
名門音楽大学に入学したドラマーのニーマン（マイルズ・テラー）。ある日、
フレッチャー教授（Ｊ・Ｋ・シモンズ）の目に止まり、彼が指導するバンドに
入る。そこで成功すれば、偉大な音楽家になれると喜んだものの、ニーマンを
待っていたのはフレッチャーの狂気のレッスンだった。理不尽な指導に耐え、
必死で食らいついていくニーマンだったが……。
＜レビュー＞
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壮絶すぎる鬼教官によるドラム指導
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音楽の魔力が様々な化学反応を起こすのが音楽映画。しかし、この映画で起き
る化学反応は、明るくも前向きでもなく、おぞましいものです。
名門音楽大学に入学したドラマー志望の若者が、鬼教官からシゴかれるという
だけのドラマ。それなのに、つい引き込まれてしまいました。何しろ、鬼教官
のシゴキがハンパではないのです。
汚い言葉で罵倒し、肉体的にも精神的にも徹底的に追い込むスパルタ教育。人
権なんて完全無視。なんと彼の指導でうつ病になり、自殺した学生まで出てい
ます。そういえばアメリカ海兵隊の訓練も、こういう情け容赦ないものでした
よね。いえいえ、これはもうホラー映画の世界ですヨ。
そんな鬼教官フレッチャーを迫真の演技で演じるのは、渋い脇役で知られ、本
作の演技でアカデミー助演男優賞を獲得したＪ・Ｋ・シモンズ。こういう役っ
て、本人は案外楽しみながらやっていたりするから、壮絶さにますます磨きが
かかるわけです。
この映画で取り上げられている音楽が、ジャズだというのも効いていますよね。
ファン以外には、ちょっと高尚で難解なイメージがあったりして。それをうま
く利用しています。ロックならこうはいきませんからね。
しかし、そんな理不尽な指導に対して、強烈な成り上がり志向で食らいつく主
人公のニーマン。練習の邪魔だからと彼女も捨て、ケガして血を流すほど練習
に打ち込みます。そうするうちに、どことなくフレッチャーに似てくるニーマ
ン。彼自身が、完全に嫌なヤツになってきます。
こういう展開もまるでホラー映画（ゾンビ映画とか）ですねぇ。人間の奥底の
怖さや弱さが、スクリーンからにじみ出てきます。
しかし、そんなニーマンにもついに破綻が訪れます。そして、フレッチャーの
シゴキにも、彼なりの理由があることが明かされ、２人の和解らしき場面も登
場します。
ですが、ですが、話はそれで終わりません。なんと、またしてもフレッチャー
の底抜けの怖さが見せつけられるのです。そこまでやるんかい！
ラストは凄まじすぎるニーマンのドラムソロ。それはフレッチャーとのバトル
以外の何物でもありません。観客はここに至るまでに、完全にフレッチャーが
大嫌いになっているわけで、そういう意味である種のカタルシスが得られます。
ただし、それで終わらないのがこの映画の面白いところ。最後の最後に映し出
される２人の表情。それは、音楽の持つ圧倒的なパワーを意識させるものであ
り、この映画が間違いなく音楽映画であることを観客に示します。
同時に、それはニーマンが成長した瞬間。単にフレッチャーに導かれたのでは
なく、彼を乗り越えた瞬間だと思います。つまり、この映画は青春物語として
もちゃんと成立しているわけです。
まあ、とにかく壮絶で鬼気迫る映画なので、間違いなく一見の価値はあります
ね。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2015年4月20日（月）ＴＯＨＯシネマズ新宿にて。午後12時の回
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