ソロモンの偽証 後篇・裁判


(2015年 日本)(上映時間2時間26分)
監督:成島出
出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月
歩、西村成忠、西畑澪花、若林時英、加藤幹夫、石川新太、佐々木蔵之介、夏
川結衣、永作博美、小日向文世、黒木華、尾野真千子
*丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://solomon-movie.jp/
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<ストーリー>
クリスマスに謎の死を遂げた城東第三中学校2年A組の柏木卓也。当初は自殺
と思われたが、不良の大出俊次による殺人という告発状が届き、事態は混沌と
する。2年A組のクラス委員・藤野涼子(藤野涼子)は、中学生だけで真相究
明の校内裁判を開くことを提案し、ついに裁判が開廷する。大出を被告に、藤
野涼子は検事を務め、他校生の神原和彦は弁護人となり、白熱した審理が進む
のだが……。

<レビュー>
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少年少女の演技が光る緊迫の裁判シーン
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宮部みゆきの小説を『八日目の蝉』の成島出監督が前後篇の2部作で映画化し
たうちの後篇です。

前作『前篇・事件』では、中学生の死体が発見され、警察や学校は自殺と判断
するものの、「不良の大出という男が殺した」という告発状が届きます。殺さ
れた生徒と同じクラスのクラス委員・藤野涼子は、真相究明のために生徒だけ
による校内裁判を提案します。

ついにその裁判が始まるのが、この『後篇・裁判』です。前篇以上に子どもた
ちが中心のドラマ。しかも、ほとんどが体育館での裁判シーンです。判事や検
事、弁護人、陪審員などを中学生が務め、同じく中学生の被告を裁きます。

この裁判シーンが濃密で緊迫感タップリです。主役の役名をそのまま芸名にし
た藤野涼子や、裁判の鍵になる神原和彦を演じた板垣瑞生をはじめ、生徒役の
子供たちの演技が素晴らしい!

もちろん未熟なところもありますが、それも含めて等身大の若さがスクリーン
にあふれています。ちょっと生硬なセリフなどもあって、脚本的にはイマイチ
なのですが、それを感じさせない圧倒的な存在感です。特に子供たちの目力が
スゴすぎます。

ドラマを通して、いじめや学校の事なかれ主義、マスコミの暴走など様々な問
題提起をししているのは前篇と同様ですが、今回は前回以上に生徒たちの内面
に迫っています。だから、なおさら彼らの演技が光ります。それを後押しする
成島監督の繊細な心理描写もさすがです。

宮部みゆきが原作だけに、ミステリー的な面白さはちゃんと担保しています。
大出という不良を裁く裁判ながら、途中で謎の事実が浮上して、やがて別の人
物に焦点が当たります。そして、意外な真実が明らかになるのです。

そこから浮かび上がってくるのは、子どもたちの心の闇や苦悩、そして、それ
でも前に進もうとする強い意志です。裁判で彼らは大いに傷つきながら、真実
と向き合うことの大切さを知ります。そういう意味で、子供たちの成長物語に
もなっています。

とにかく文句なしの力作ですね。前後篇併せて4時間半近い大作ですが、観る価
値は十分にあります。

≪ぽちの満足度≫〜前後篇通して
★★★★☆
(93点)

≪ぽちのオススメ度≫〜前後篇通して
★★★★☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年4月12日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時の回


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