Mr.タスク(TUSK)


(2014年 アメリカ・カナダ)(上映時間1時間42分)
監督・脚本・編集:ケヴィン・スミス
出演:マイケル・パークス、ジャスティン・ロング、ハーレイ・ジョエル・オ
スメント、ジェネシス・ロドリゲス、ギー・ラポワンテ
*新宿シネマカリテほかにて公開
ホームページ http://kibasan.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
ウォレス(ジャスティン・ロング)は、相棒のテディ(ハーレイ・ジョエル・
オスメント)とポッドキャストを運営していた。その取材でカナダを訪れたウ
ォレスは、航海の話を聞いてほしいという老人に興味を持ち、彼の家を訪れる。
ハワード(マイケル・パークス)と名乗るその老人から手厚いもてなしを受け
るが、出された紅茶を飲んで気を失ってしまうウォレス。目覚めると車椅子に
縛りつけられ、片足を失っていた。ハワードは「これから君はセイウチになる
んだ」と告げる。やがてウォレスの異変を察した恋人のアリーとテディが捜索
に乗り出すのだが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
人間をセイウチに改造する奇妙すぎるホラー映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

こんにちは。オバカ映画鑑賞人のぽちです。何でも、人間をセイウチに変える
という恐ろしいんだか、オバカなんだかわからないお話のホラー映画があると
いうので、さっそく観てまいりました。

主人公は友達とポッドキャストで、人をコケにする低俗な番組を流しているウ
ォレスというアメリカ人。その取材でカナダに行ったものの、対象者が自殺し
ていて空振りに。そんな中、ハワードという変な老人に興味を持って、そのジ
イサンの家に行ってみたら大歓迎。しかし、睡眠薬入り紅茶を飲まされ目覚め
ると足がない!

そうです。ジイサンはウォレスをセイウチに改造するつもりだったのです。タ
イトルの「タスク」とはキバ。セイウチのキバのことなんですねぇ。怖いです
ねぇ。オバカですねぇ。

とはいえ、ただのB級オバカ映画とは何やら違う雰囲気も。なんたって、役者
の演技が本物なんですよ。特にハワード役のマイケル・パークスの怪演は、ま
るで濃密な舞台劇を見ているかのよう。

そんな彼がいかにして狂気に走ったかを語る語り口も、含蓄に富んでいたりし
ます。本当か嘘八百かわからない、文豪ヘミングウェイとのエピソードなども、
なかなか興味深いところです。

ポッドキャストで人を小バカにしていたウォレスが、恐ろしい計画の犠牲にな
るという因果応報的な構図を通して、現代社会に対する批判を加えているよう
な感じもあったりします。

そしてラストシーンも、何やら悲しい恋物語的だったり、人間と動物の違いに
ついて描いている風であったりするわけで……。

というわけで、「けっこうマジなのかな?」と思わせられる部分もあるのです
が、そういうのが全部ぶっ飛んでしまうシーンがあります。ついにセイウチに
改造されたウォレスがスクリーンに大登場だぜッ!

これがまあ、気色悪いというか、悪趣味というか。夢に出てきそうな姿です。
最後のほうでは、同じくセイウチに扮したハワードとの、セイウチ対決まで用
意されるというハチャメチャぶり。何なんだ?これは。

その一方、ウォレスの身を案じた恋人と友達は、ある元警察官と捜索に乗り出
します。この元警察官を演じるのが大スターのギー・ラポワンテ。て、誰やね
ん!

まあ、そういうクレジットなので、本当はバラしちゃいけないのかもしれませ
んが、この際もういいや。あのジョニー・デップが登場して、いつもの変人キ
ャラで、笑いを振りまくお楽しみの展開。

あーあ。もうホントに何なんでしょう。この映画。ワケがわかりませんことよ。
オバカ映画好きとしては、やや物足りない感じ。でも、まあ変な魅力があるの
も事実。ハマる人はけっこうハマるかもしれません。

最後に、主人公の友達役の『シックス・センス』のハーレイ・ジョエル・オス
メント君。色んな意味で成長しておりました。ちょっとダイエットしたほうが
いいとは思うけど、他の名子役に比べれば劣化度はそんなにヒドクないかも。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(75点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★☆☆☆
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年8月3日(月)新宿シネマカリテにて。午後2時の回


[「み」のページ] [「アルファベット」のページ]