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ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女
（A GIRL WALKS HOME ALONE AT NIGHT）
（2014年 アメリカ）（上映時間1時間41分）
監督・脚本：アナ・リリ・アミリプール
出演：シェイラ・ヴァンド、アラシュ・マランディ、モジャン・マーノ、マー
シャル・マネシュ、ドミニク・レインズ
＊新宿シネマカリテほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://vampire.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
イランの"バッド・シティ"。ドラッグ中毒の父を抱える青年アラシュ（アラシ
ュ・マランディ）は、ようやく手に入れた愛車を、父がつくった借金のカタに
麻薬の売人サイードに奪われてしまう。だが、まもなくサイードは吸血鬼によ
って惨殺される。愛車を取り戻したアラシュは、やがて一人の黒衣の美少女と
出会い、恋に落ちる。だが、彼女こそが、街で見つけた悪人やホームレスの血
を吸って生きる吸血鬼だった……。
＜レビュー＞
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モノクロ映像で描かれる魅惑的なヴァンパイアの世界
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久々に吸血鬼映画を観ました。ただし、この映画、ちょっと複雑です。アメリ
カ映画ですが舞台はイラン。そしてペルシャ語のドラマです。というのも、こ
の映画の新人女性監督アナ・リリ・アミリプールはイラン系の人なんですねぇ
（生まれも育ちも国外らしいですが）。
舞台はイランの架空の都市バッド・シティ。その名の通り犯罪都市のようです。
その街では、黒衣の美少女が出没し、悪人やホームレスの血を吸っていました。
そんな中、ヤク中の父親を抱えるアラシュという青年が、一人の美少女と知り
合います。そうです。彼女こそが黒衣の吸血鬼なのでした。ぎゃあ〜〜！！
というようなストーリーにはあまり意味がありません。この映画の見どころは
ズバリ、映像です。モノクロで描かれる美しくスタイリッシュな映像が、独特
の世界観を生み出しています。その中で、黒衣の美少女をはじめとする登場人
物が、妖しく、危うく、そしてエロチックにうごめきます。
音楽もバッグンにセンスが良くて（ロック音楽が満載）、それをバックにした
ダンスシーンなど魅惑的な映像が続きます。全編がまるでアートのようです。
無駄なシーンはまったくありません。
吸血鬼の少女がスケボーに乗ったり、青年の手で少女の耳にピアスの穴をあけ
られたりと、印象的なシーンがテンコ盛り。
吸血鬼映画は今までにもたくさん作られていますが、こういう映画はあまりな
かったかもしれません。吸血鬼映画というジャンルを超越した映画といえそう
です。怖さよりも、むしろ「カッコいい〜！」と叫んでしまいたくなるような
スタイリッシュさに満ちています。
それにしても、才能ある監督が出現したものです。映像だけですべてを表現し
てしまうのだからスゴイ。次回作は、もう少し凝ったストーリーの映画を撮っ
てほしいですね。ノワール映画とか似合いそうです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
2015年9月22日（火）新宿シネマカリテにて。午後12時の回
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