私の少女(A GIRL AT MY DOOR)


(2014年 韓国)(上映時間1時間59分)
監督・脚本:チョン・ジュリ
出演:ペ・ドゥナ、キム・セロン、ソン・セビョク
*ユーロスペースほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.watashinosyoujyo.com/
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<ストーリー>
海辺の小さな村の派出所長に、ソウルから女性警官のヨンナム(ペ・ドゥナ)
が左遷されてくる。彼女はそこで、母親が蒸発して継父と義理の祖母に虐待さ
れている少女ドヒ(キム・セロン)と出会う。ドヒを救おうと奔走し、ついに
自宅で預かることにするヨンナム。だが、自身の過去が明らかにされ、窮地に
陥ってしまう……。

<レビュー>
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虐待される少女と心に傷を負った女性警察官の魂のふれあい
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ポン・ジュノ監督の『ほえる犬は噛まない』を観て以来、大ファンになった
ペ・ドゥナ。『リンダ リンダ リンダ』『空気人形』といった日本映画にも出
演しています。そんな彼女と『冬の小鳥』『アジョシ』で子供ながらに抜群の
存在感を見せたキム・セロンが共演するというのですから、それだけで私にと
って必見の映画です。

冒頭、海辺の村に一台の車がやってきます。そこに乗っているのはソウルから
やってきた女性警察官のヨンナム。彼女は問題を起こし、左遷されて、この村
の派出所長として赴任してきたのです。

そんな中、道端では一人の少女が遊んでいます。彼女の名はドヒ。実の母親が
蒸発し、血のつながりのない継父ヨンハと、その母親である祖母から虐待を受
けています。そのことを知ったヨンナムは、彼女を守ろうとします。

舞台となる村は、老人ばかりの村。わずかにドヒの継父ヨンハだけが、比較的
若い住人。しかも、商売をしているとあって、村人たちは彼の暴挙に対して見
て見ぬふりをしています。

こうして心身ともに傷ついたドヒにとって、ヨンナムは自分を守ってくれる唯
一の存在。また、ヨンナムも左遷の原因となったある事件で、心に大きな傷を
負っています。そんな2人は次第に距離を縮めていきます。

しかし、ヨンナムの努力にもかかわらず、ドヒに対する虐待は続きます。そこ
でヨンナムは彼女を自宅で預かることにします。ここから事態は思わぬ方向に
進んでいきます……。

いやぁ〜、やっぱりさすがにペ・ドゥナですね。孤独を背負い、迷い傷つきな
がらもドヒを守ろうとするヨンナムを見事に演じ切っています。

一方、キム・セロンも素晴らしい演技です。虐待される少女の心の奥の複雑さ
を巧みに表現。そこには天使のような無垢さと悪魔のようなしたたかさが同居
しています。劇中で「小さな怪物」という言葉が登場しますが、まさにそんな
感じ。途中で、ドヒの義理の祖母が変死する事件が起きますが、それも彼女の
得体のしれなさを増幅させています。

後半になると、ヨンナムの左遷の原因が明らかになり、それがその後のドラマ
の展開に大きな影響を及ぼします。

クライマックスでは、ドヒが危険な賭けに出ます。それを幼い少女の精一杯の
抵抗と取るか、魔性の行動と取るかは人それぞれ。いずれにしても、彼女の行
動はヨンナムに衝撃を与え、余韻の残るラストへとつながります。「私と行
く?」というヨンナムの表情のアップ、それを受けたドヒの表情のアップがい
つまでも心に残ります。

このラストで、2人は単なる保護者と被保護者という関係を越えて、より深く
魂同士で結びついたのではないでしょうか。傷ついた2人の道行の果てには、
きっと光があると信じたいものです。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆(+1/2★)
(95点)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
                            (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2015年5月1日(金)ユーロスペースにて。午後1時20分の回


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