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１4の夜
（2016年 日本）（上映時間1時間54分）
監督・脚本：足立紳
出演：犬飼直紀、濱田マリ、門脇麦、和田正人、浅川梨奈、健太郎、青木柚、
中島来星、河口瑛将、稲川実代子、後藤ユウミ、駒木根隆介、内田慈、坂田聡、
宇野祥平、ガダルカナル・タカ、光石研
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://14-noyoru.com/
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＜ストーリー＞
1987年の田舎町。中学生のタカシ（犬飼直紀）は、悶々とした日々を送ってい
た。ずっと家でうじうじしている父親にイラつき、会うたびに絡んでくるヤン
キーたちも鬱陶しく、幼なじみのメグミの巨乳ばかりが気になっている。そん
なある日、町に1軒だけあるレンタルビデオ屋に、AV女優のよくしまる今日子が
サイン会にやってくるという噂を耳にして、ソワソワするタカシたちだったが
……。
＜レビュー＞
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オバカ中学生たちのエロ青春コメディー映画
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この映画の脚本・演出を担当した足立紳は、私も審査に関わった（といっても
一次審査で下読みしただけですが）創作テレビドラマ大賞を「佐知とマユ」で
受賞した人。現代の若い女性の孤独と友情を描いたこの作品を見て、この人は
作家性が強い人だとばかり思ったのですが、実際は違ったようです。本人に話
を聞くと、もともと映画の現場にいて映画監督志望だったのに、なかなか道が
開けず、「それなら脚本から入ろう」と考えたとか。
というわけで、さすがに現場のたたき上げという感じです。脚本を担当した
「百円の恋」に続いて、この映画もエンタメ性タップリの娯楽映画に仕上がっ
ています。
1987年の田舎町を舞台に、イケてない中学生・タケルと仲間たちの一夜の出来
事が描かれます。ＡＶ女優がレンタルビデオ屋にやってきて、オッパイを触ら
せてくれるという真偽不明の噂を軸に、ドラマが展開します。
登場する中学生たちの頭の中はエロいことばかり。そしてオバカ。うーむ、自
分の中学時代って、あんなだったっけ？ あそこまでヒドクなかった気がする
んですけど。まあ、しかし、それがいろんな笑いを生み出すわけです。とにか
くエロネタ満載。ＡＶ女優の名前も「よくしまる今日子」っていうんですから、
笑っちゃうしかないです。当時の時代を反映したアイドル歌手ネタやアントニ
オ猪木ネタなど、小ネタもたくさん登場します。
青春映画らしい人間ドラマもあります。主人公タケルは、父を軽蔑し、日常に
不満を抱えています。さらに、そこに姉が彼氏を連れて来たりしてメチャクチ
ャになります。そういう日常から脱却したいという思いが、彼を突き動かすわ
けですが、それが「オッパイもみたい」というところに集約されるのはどうな
んだ？？？？？ 私には理解不能です。ちなみに、私は中学生の時には、「そ
のうち革命を起こしてやる！」と思っていました。
クライマックスは暴走族との大バトル。そこに幼なじみの憧れの女の子が絡ん
できたりして、なかなか盛り上がります。
とはいえ、やっぱり人間ドラマは薄いよなぁ〜。足立監督によれば、「『スタ
ンド・バイ・ミー』的な映画」ということですが、あっちは人間の死とかもっ
と深いテーマが関わっていたからね。奥深さでは足元にも及びません。夏休み
の一夜という熱気も、十分には伝わってこない感じです。
それでもラストは、クドクドとセリフを並べ立てることなく、主人公の叫びで
彼の思いを表現するとともに、彼がちょっとだけ成長したらしいところを見せ
ます、そのへんも含めて、とにかく巧いですよ。とても、新進監督兼脚本家の
仕事とは思えません。
個人的にはエロだけでいいのか？という思いは拭えないものの、笑えるのは笑
えます。爆笑のエロ青春コメディーとしてとらえれば、それなりによくできた
映画だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（80点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年10月29日。第29回東京国際映画祭にて（日本映画スプラッシュ部門）
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