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あやしい彼女
（2016年 日本）（上映時間2時間5分）
監督：水田伸生
出演：多部未華子、倍賞美津子、要潤、北村匠海、金井克子、志賀廣太郎、三
鴨絵里子、越野アンナ、久保佑太、Kilt、田村健太郎、温水洋一、小林聡美
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://ayakano.jp/
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＜ストーリー＞
73歳の瀬山カツ（倍賞美津子）はワガママな毒舌家。女手一つで育て上げたシ
ングルマザーでキャリアウーマンの娘・幸恵（小林聡美）と、バンド活動をし
ている孫・翼（北村匠海）を自慢にしている。だが、ある日、幸恵と喧嘩して
家を飛び出したカツは、見知らぬ写真館でポートレイトを撮影してもらった瞬
間、なぜか20歳の時の自分に若返ってしまう。大鳥節子（多部未華子）と名乗
り、のど自慢大会がきっかけで翼のバンドに入り、音楽プロデューサーの小林
拓人（要潤）にも評価されるのだが……。
＜レビュー＞
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73歳の老女が20歳の女の子に。大ヒット韓国映画のリメイク
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2014年の韓国映画『怪しい彼女』のリメイクです。オリジナル版は抜群に面白
かったのですが、こちらもなかなかに楽しい映画に仕上げています。
老女がふらふらと入った謎の写真館で写真を撮られて、20歳の女の子に若返る
という基本設定はオリジナルと同じ。その老女がオードリー・ヘップバーンに
憧れていて、それにちなんだ名前を名乗り、ファッションを身につけるという
あたりも同じパターンです。
これが実に面白いんですよねぇ〜。外見は若い女の子なのに、言動は毒舌家の
老女のまま。このギャップが笑えるんです。老女セツを演じる倍賞美津子を引
き継いだ、節子役の多部未華子が、見事なコメディエンヌぶりを発揮していま
す。オリジナル版のシム・ウンギョンに負けない演技です。
若返った節子が孫のバンドのボーカルとして活躍するという展開なので、多部
未華子は歌声も披露しています。これがまた澄んだ歌声で魅力的。特にテレビ
番組で『悲しくてやりきりれない』を歌い、つらかった過去の人生を思い起こ
すシーンは感動もの。涙なしには見られませんでした。
というわけで、オリジナル版同様に、笑いだけでなく感動できる要素があるの
もこの映画の特徴。戦災孤児だった銭湯の主人（志賀廣太郎が相変わらずいい
味）と過酷な子供時代を振り返るシーン、ラスト近くで娘の幸恵と思いをぶつ
けあって人生を肯定するシーンなど、グッとくるシーンがあちこちに。節子の
キャラの強烈さをオリジナルよりやや薄めて、息子だった設定を娘に変えたり
しているのも、それをうまく後押ししています。
その一方で、節子がプロデューサーといい感じになる展開や、クライマックス
のライブシーンなどはオリジナルとほぼ同じ展開。オリジナル版でも感じられ
た高齢者をないがしろにする社会への批判のようなものも、ほんのチラッとで
すが描かれます。日本流のアレンジは最小限に抑えて、オリジナルの良いとこ
どりをした感じでしょうか。
最後に描かれるのは、銭湯の主人の意外な変身。ヘップバーンの「ローマの休
日」をネタに使って、最後の最後まで楽しませてくれました。『なくもんか』
『謝罪の王様』などで知られる水田伸生監督の映画をちゃんと観るのは初めて
ですが、評判通りコメディの名手ですね。
まあ、それよりなにより多部未華子のはじけた演技が最大の魅力。笑って、ち
ょっぴりグッと来て、最後はホッコリできる映画です。オリジナルの韓国版も
あわせてぜひ。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年4月3日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時15分の回
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