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ドリーム
ホーム 99％を操る男たち（99 HOMES）
（2014年 アメリカ）（上映時間1時間52分）
監督：ラミン・バーラニ
出演：アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ティム・ギニー、
ノア・ロマックス、ローラ・ダーン、クランシー・ブラウン、ウェイン・ペレ、
ニコール・バレ、Ｊ・Ｄ・エヴァーモア、カレン・モス
＊ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://dreamhome99-movie.com/
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＜ストーリー＞
母と小学生の息子と３人暮らしの男デニス・ナッシュ（アンドリュー・ガーフ
ィールド）。不況で職を失い、自宅を差し押さえられた彼のもとに不動産ブ
ローカーのリック・カーバー（マイケル・シャノン）が現れ、冷徹に強制退去
を迫る。仕方なく母と息子を連れてモーテルに引っ越したデニスは、自宅を取
り戻すために、カーバーが持ちかけてきた儲け話に乗る。自分と同じような境
遇の人々の家を差し押さえて、大儲けするナッシュだったが……。
＜レビュー＞
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非情なアメリカ社会を批判する骨太の社会派サスペンス
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アメリカのあまりにも不合理な格差社会を背景にした骨太の社会派ドラマです。
冒頭、自宅で自殺した男と、それを見つめるいかにも悪そうな男が登場。この
男こそ、自宅を差し押さえられた住人から、冷徹に立ち退きを迫る不動産ブ
ローカーのカーバーです。
まもなく主人公の男ナッシュも、彼の毒牙にかかってしまいます。母親と幼い
息子と暮す彼は、不況で仕事を失い家を差し押さえられます。そこにやってき
たのがカーバー。必死で猶予を求めるカーバー一家の願いを無視して、非情に
家を奪います。
こうしてモーテル暮らしになったナッシュですが、ひょんなことからカーバー
の仕事を手伝うことになり、なぜか彼に気に入られて右腕として働くようにな
ります。つまり、自分がやられたことを今度は、自分と同じような境遇の人々
に対して行い、金を稼ぐのでした。
この立場の逆転がドラマのミソ。いくら自宅を取り戻すためとはいえ、ナッシ
ュの心には大きな葛藤が生まれます。なにしろ、自宅を取られる人の心中は痛
いほど理解しているわけですから。そんな苦しみを抱えたナッシュと彼の一家
の人間ドラマが、この映画の最大の見どころです。
同時に、サスペンス的な魅力もあります。ナッシュが家を奪われるシーン、今
度は逆に家を奪うシーン。手持ちカメラで描かれる緊迫感たっぷりのシーンが、
観客の胸をざわつかせ、ハラハラさせます。
そしてもちろん、社会派ドラマの要素もタップリ。ラミン・バーラニ監督の意
図は明確です。庶民がちょっとしたことで転落し、家を奪われてしまう危うさ。
あまりにも不合理な格差社会。行政や司法と癒着する悪徳業者。劇中でカー
バーが「この国は勝者による勝者のための国だ」てな発言をしますが、そこか
らもわかるようにアメリカ社会を痛烈に批判しています。
ラストのナッシュの苦悩の果ての決断は、ある意味潔く、本来なら胸のすく結
末にもなりそうですが、実際はそうなりません。観終わって流れるのは、何と
も切なく重苦しい雰囲気。それだけアメリカ社会の病が重いってことでしょう。
そして、日本も同じ道を歩まないとも限らないわけで……。
繊細な感情の揺れを見せたアンドリュー・ガーフィールド、軽薄な成り上がり
ものではなく陰影に富んだ人物像を作り込んだマイケル・シャノン、両者の演
技も絶品です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（91点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年2月19日（金）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時10分の回
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