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エクス・マキナ（EX
MACHINA）
（2015年 イギリス）（上映時間1時間48分）
監督・脚本：アレックス・ガーランド
出演：ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル、オスカー・アイザ
ック、ソノヤ・ミズノ
＊シネクイントほかにて全国公開
ホームページ http://www.exmachina-movie.jp/
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＜ストーリー＞
世界最大の検索エンジンを運営するブルーブック社でプログラマーとして働く
ケイレブ（ドーナル・グリーソン）は、社内懸賞に当選し、社長のネイサン
（オスカー・アイザック）の山荘に１週間滞在するチャンスを得る。しかし、
人里離れたその場所では、女性型ロボットのエヴァ（アリシア・ヴィキャンデ
ル）が待っていた。ケイレブが招かれた真の目的は、エヴァに搭載された世界
初の実用レベルの人工知能（ＡＩ）のテストに協力することだった。戸惑いつ
つエヴァとの会話を重ねていくケイレブだったが……。
＜レビュー＞
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青年とＡＩ搭載の女性型ロボットをめぐるコワイＳＦ
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人工知能（ＡＩ）を扱ったコワ〜イＳＦです。監督はディカプリオ主演の
『ザ・ビーチ』の原作者で、『２８日後...』『わたしを離さないで』などの脚
本を担当したアレックス・ガーランド。
検索エンジン最大手のＩＴ企業（まるでグーグル）のプログラマー、ケイレブ
が主人公。社内抽選に当選して山奥の社長の別荘に行った彼は、そこで女性型
ロボットのエヴァと出会います。実は、その別荘は研究施設で、社長はＡＩを
研究していたのです。その実用性をテスト（チューリング・テストというそう
です）するために呼ばれたケイレブは、エヴァと会話を重ねます。しかし……。
というわけで、主人公の青年ケイレブと美しい女性型ロボットのエヴァとのガ
ラス越しの対話がドラマの軸。そこに怪しすぎる社長のネイサンが絡んできま
す。
映像が印象的な作品です。特に胴体が半透明のようなエヴァの姿は、アカデ
ミー視覚効果賞にふさわしい見事なビジュアル。さらに宇宙基地のように無機
質で冷たい雰囲気が漂う別荘の内部なども、うまく作られています。
ストーリーそのものは、けっして奇抜ではありません。ですが、アカデミー脚
本賞にもノミネートされたというだけに、ありふれたネタを色々な仕掛けで面
白く見せていきます。まずはケイレブとエヴァの異人種（？）ロマンス。美し
くエロティックなエヴァの魅力が全開です。半透明のボディに服をまとった姿
などは背筋ゾクゾクもの。微妙な表情やしぐさも魅力たっぷり。何しろ演じて
いるのが、『リリーのすべて』で助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャン
デルですからねぇ。ケイレブならずとも惚れちゃうわけですよ。
サスペンス的妙味も十分。ケイレブがいる施設は時々停電になります。その間
は監視カメラが働かず、エヴァとケイレブの会話が聞かれることはありません、
そこでエヴァは「社長を信用しないで」などと謎の言葉を放つのです。それを
裏付けるかのように、ヒゲ社長のネイサンはいかにも奇怪な人物。それに従う
キョウコという日本人女性も謎だらけ。そんなこんなで終盤に向かって、スリ
ル感と怪しさが募っていきます。（ちなみにキョウコという日本人女性は、ソ
ノヤ・ミズノというイギリス育ちのバレリーナで、最近映画で売り出し中だそ
うです。）
やがてケイレブは恐ろしい事実を知ります（一瞬、江戸川乱歩かと思ったら、
そういうことではなかったみたい）。そして、最後には衝撃的な出来事が……。
この映画には未来社会への問題提起のようなものも感じられます。人間のあく
なき欲望が生み出したＡＩ。その行きつく先はどこなのか？ 彼らは自ら意思
を持って行動するようになるのか？ 原爆を開発したオッペンハイマーの言葉
なども散りばめて、さりげなく観客に問いを投げかけます。ネイサン社長が劇
中で「愚かな人間は絶滅する」的な発言をしますが、それが絵空事とも思えな
い映画です。
ラストは意味深。もしかしたら、ＡＩはすでにあなたの隣にいるのかも！？
てなところも含めて、なかなか魅力的なＳＦ作品でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年7月13日（水）シネマカリテにて。午後12時の回
[「え」のページ]
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